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ミャンマー医療支援 形成外科医派遣進める 岡山のNPO、9月に2回目 専門医養成システムも検討

ミャンマーの総合病院で手術する木股教授(左から3人目)ら

 ミャンマー人医師らの技能向上に取り組むNPO法人「日本・ミャンマー医療人育成支援協会」(理事長・岡田茂岡山大名誉教授)は、先天的な異常や腫瘍(しゅよう)、事故などで変形した顔や手足を治す形成外科医を同国に派遣するプロジェクトを進めている。治療目的では初めて専門医を1月下旬に派遣し、4日間で53件の手術を実施した。9月に2回目を予定するほか、現地で形成外科医を育てるシステムづくりも検討している。

 同協会によると、ミャンマーの4医科大学には形成外科医を養成する体制がなく、海外留学などで学んだ形成外科医は5人で、日本(約1500人)の300分の1。先天異常ややけどなど大きな傷を負っても専門的な治療が受けられない患者が大半という状況の改善に向け、協会側が派遣を呼び掛けた。

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)の木股敬裕教授と山田潔助教らが1月25日、首都ネピドーで最大の総合病院を訪問。木股教授は「初めて診る患者ばかり。使い慣れた器具をスーツケースに詰めて出発した」と振り返る。

 到着後すぐに外来で待ち受けていた患者90人を、同国の形成外科医と協力して診察。同日から4日間で腫瘍切除や皮膚の自家移植、唇の変形の再建など53件の手術を行い、患者や同国政府から感謝されたという。

 同行した岡田理事長は「病院の設備も不十分だが、人材不足はより深刻。何とか専門医を養成するアカデミーの創設にめどをつけたい」としている。

 同国は軍事政権が国政を担い、11月に総選挙が実施される予定。政情が安定しない場合は延期するが、9月28日から再派遣する。

 同協会は2006年、C型肝炎予防などミャンマーへの医療協力を10年間続けてきた岡田理事長らが設立。近年は、ミャンマー人女性のがん死亡数がトップの子宮頸(けい)がんの早期発見に向けた検診センター2カ所をヤンゴンなどに設立。子宮頸がんの診断医ら約20人を岡山大病院に招き、指導している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年08月18日 更新)

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