脳梗塞光らせ特定 マウスで観察成功 阿部教授(岡山大大学院)ら 早期診断へ活用期待
岡山大大学院医歯薬学総合研究科の阿部康二教授(脳神経内科学)と大学院生の田豊豊さんらの研究グループは、オワンクラゲが持つ緑色蛍光タンパク質(GFP)を組み込んだ遺伝子改変マウスで、脳梗塞(こうそく)により壊死(えし)しつつある神経細胞を発光させ、生きたまま観察することに成功した。
ヒト向けの薬剤開発につながる成果で、将来的には脳梗塞の早期診断や治療効果判定への活用が期待されるという。秋にも米専門誌に掲載される。
研究グループは、マウス30匹にGFPを組み込み、脳梗塞になりやすい状態にするため脳への血流を1時間遮断。頭皮を取り除いたマウスの脳を生きたまま特殊な高感度カメラで撮影した。虚血状態となったマウスの脳は、細胞の健康を維持するための「自食作用(オートファジー)」が強く誘導され、神経細胞が壊死し始めると同時に、発光を始めた。
脳梗塞は通常、MRI(磁気共鳴画像装置)やCT(コンピューター断層撮影)といった画像などの所見から診断。今回の成果を活用した発光薬剤と検査機器が開発されれば、現在よりも簡単に確定診断ができるようになるという。
阿部教授は「人間に応用できれば早期診断が可能になる上、患者の負担も極めて軽くなる」とし、今後は大型動物による基礎研究を続け、将来的にはヒトへの臨床研究につなげる方針。
GFPは2008年にノーベル化学賞を受賞した下村脩・米ボストン大名誉教授らが1960年代に発見。がん研究をはじめ、生命科学の研究に不可欠な“道具”の一つとなっている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。
ヒト向けの薬剤開発につながる成果で、将来的には脳梗塞の早期診断や治療効果判定への活用が期待されるという。秋にも米専門誌に掲載される。
研究グループは、マウス30匹にGFPを組み込み、脳梗塞になりやすい状態にするため脳への血流を1時間遮断。頭皮を取り除いたマウスの脳を生きたまま特殊な高感度カメラで撮影した。虚血状態となったマウスの脳は、細胞の健康を維持するための「自食作用(オートファジー)」が強く誘導され、神経細胞が壊死し始めると同時に、発光を始めた。
脳梗塞は通常、MRI(磁気共鳴画像装置)やCT(コンピューター断層撮影)といった画像などの所見から診断。今回の成果を活用した発光薬剤と検査機器が開発されれば、現在よりも簡単に確定診断ができるようになるという。
阿部教授は「人間に応用できれば早期診断が可能になる上、患者の負担も極めて軽くなる」とし、今後は大型動物による基礎研究を続け、将来的にはヒトへの臨床研究につなげる方針。
GFPは2008年にノーベル化学賞を受賞した下村脩・米ボストン大名誉教授らが1960年代に発見。がん研究をはじめ、生命科学の研究に不可欠な“道具”の一つとなっている。
(2010年08月26日 更新)