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5歳児脳死想定し臓器提供シミュレーション 岡山大病院 判定手順など確認

男児のドナーが現れたケースを想定して行われた岡山大病院の臓器提供シミュレーション

 提供要件を緩和した改正臓器移植法の全面施行(7月)後、脳死臓器提供が過去に例のない早いペースで行われる中、岡山大病院(岡山市北区鹿田町)は28日、脳死ドナー(臓器提供者)が現れた際の家族への意思確認、脳死判定などの手順を確認するシミュレーションを院内で実施した。

 プールでおぼれた5歳男児が心肺停止状態で岡山大病院に搬送され、脳死とみられる状態に陥り、家族から提供の申し出があった―との想定で実施。同病院の医師、看護師ら約100人が参加した。

 氏家良人救急部長が講義室で、スライドを使って家族のケアや摘出手術を順に説明。各地から集まる摘出チームへの対応、脳死判定の間隔を24時間以上空ける点にも言及した。

 法運用の指針で国は18歳未満のドナーについて、被虐待児からの提供防止へ院内の専門委員会で虐待の有無を判断することを規定。岡山大病院は、小児科医ら12人の児童虐待連絡委員会がマニュアルに沿って外傷などをチェックし、児童相談所への照会で過去に虐待があれば提供を見合わせることを確認した。

 医師からは「肺などの移植手術が同時に行われる特別体制時の対応もまとめてほしい」との意見も出た。

 氏家部長は「ドナーはいつ現れるか分からない。提供したいという家族の思いを尊重し、万全を期したい」と話した。

 改正法では15歳未満の子どもからも脳死提供が可能になったが、これまでに国内での提供例はない。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年09月29日 更新)

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