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川崎学園40年の挑戦 (上) 歩 み 医療、福祉の教育拠点に

川崎学園の大学、付属病院などが立ち並ぶ倉敷市松島地区。医療、福祉教育の総合拠点として発展を続ける

 倉敷市郊外の松島地区。県道岡山倉敷線に沿って両側に、重厚な造りのビル群が目に飛び込んでくる。

 学校法人川崎学園が運営する医科大、付属病院、医療短大、医療福祉大の校舎や病棟などが集積。メディカル・マンパワーの教育拠点だ。

 「多くの信頼される良医を世に送り出したい」。こんな理想を掲げて故川〓祐宣初代理事長が1970年3月に設立した学園は、大学、短大から約3万人を輩出。地域はもちろん、県内外に高度医療・福祉を提供し続けてきた。

 医科大9期生でもある付属病院の森谷卓也病院病理部長は「在学当時、周囲は田んぼだらけ。これほど大きく発展するとは想像もしていなかった」と話す。学園の歩みは、学生たちが集う“若い街”をつくり出した。

時代を先取り 

 「挑戦を続けた40年間だった」。創立者の長男で2代目の川〓明徳理事長は振り返る。

 学園は、川崎医科大と併設の付属高校の開設とともにスタートを切った。当時の学生数は176人。3年後に医療短大、91年に医療福祉大ができ、大学院も医科大、医療福祉大に設置。学生数は現在約6千人と急速な発展を遂げた。

 貫かれてきたのは「地域に高度の医療と福祉を」の信念。学園は常に時代を先取りしてきた。

 医師に加え、チームで医療現場を支える看護師、臨床検査技師らが必要として医療短大を設立。高齢化が進む中、別々と考えられていた「医療」と「福祉」の融合を目指し、全国初の医療福祉大を開学した。戦後初で中四国唯一の私立医科大をベースに、全国有数の教育・医療・福祉の総合教育グループへと進化した。

良医育成へ投資 

 40年の節目に向け、学園はさらなる環境充実のために、さまざまなハード面の整備を進めてきた。

 付属病院は2002年に西館を新築。急性期患者の病棟や中央手術部などを本館から移設した上、本館を全面改修し、入院患者の1床当たりのスペースを広げるなど、患者の満足度を高めた。

 高度で安全な医療の提供へ、09年には西日本最大規模の機能を持つ高度救命救急センターや、ニーズの高まっているリハビリテーションセンターの入る北館も新たに整備。医科大では、画像診断などが学べる最新鋭のマルチメディア教室といった施設を設け、「良医の育成」への投資を惜しまない。

 川〓誠治副理事長は「患者、地域、学生によりよい医療、福祉、教育を提供する。この学園の原点に立ち返るとともに、さらに質を高めていきたい」と力を込めた。



 川崎学園は今年創立40周年を迎え、24日には記念行事が開かれる。地域の医療、福祉分野に優れた人材を供給してきた歴史と、将来に向けた取り組みを紹介する。

(注)〓は崎の「大」の部分が「立」
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年10月22日 更新)

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