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川崎学園40年の挑戦 (中) 人材育成 「横の連携」 実習身近に

川崎医科大付属病院で実習に励む医療短大生。学園内の連携による人材育成が大きな特長だ

 川崎医科大付属病院(倉敷市松島)の中央検査室。50種類以上の血液成分を一度に解析できる生化学自動分析装置など最新鋭の機器が並ぶ。今月中旬、実習服を着た川崎医療短大(同所)の学生約20人が、臨床検査技師の説明を真剣な表情でメモしていた。

 臨床検査科3年藤井巳世子さん(21)は「経験豊富な技師や医師から直接指導を受けられるので、力がつくと思う。就職活動でも高く評価してもらった」と話した。

 就職氷河期と言われる中でも、同科の卒業生は「ほぼ100%の就職率」(同短大)という。

 専門技術者輩出 

 医療、福祉、教育の総合拠点として大学、短大に加え、医療の最前線を担う付属病院も持つ川崎学園(同所)。医師、看護師、臨床検査技師ら、地域の医療・福祉を支える質の高い専門技術者を輩出してきた。その原動力が、学園の総合力による「横の連携」だ。

 看護師や医療機関の技師を目指す学生にとって、国家資格取得のための実習は欠かせない。その大半を受け入れるのが付属病院。外来患者1日平均約1600人、病床数1182と中四国屈指の規模を誇る“臨床”の場が身近にある。

 学園によると、付属病院が医科大生だけでなく、医療技術や医療福祉を学ぶ学生にも現場を提供する取り組みは、全国でも珍しいという。医療福祉大の岡田喜篤学長は「医療・福祉の総合教育拠点機能を持つ川崎学園ならではのメリット」と強調する。

 スペシャリスト 

 少子化で学生数が減少し、全国の大学が新入生の獲得に知恵を絞る。そんな中、医療短大では先進的な教育カリキュラムをいち早く取り入れている。

 発達障害児らの教育支援がクローズアップされる中、2005年に日本で唯一の医療保育科を設置。「医療知識を持った保育者」という新たなスペシャリストの育成を行っている。既に3期生まで計216人が巣立ち、中四国の保育所や病院で活躍。難関とされる公立の保育園や幼稚園への就職も卒業生の3割近くに上っている。

 「他の高等教育機関にまねできない特長を生かし、人間性豊かで実力ある人材を社会に送り出す」。医療短大の今城吉成学長は、大学の生き残りをかけた競争が激化する中、常に先を見据えた人材育成に力を注ぐ。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年10月23日 更新)

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