文字 

性同一性障害、悩み語る場へ自助グループ 岡山大病院受診者と家族 県内で初設立

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)を受診している性同一性障害(GID)の当事者と家族が岡山県内で初めて自助グループを立ち上げた。6月以降、茶話会を3回開催。医療者にも言えない悩みを打ち明けたり、前向きに生きる仲間の姿に勇気づけられる場になっているという。

 同病院では1998年にジェンダークリニック、今年に入ってジェンダーセンターを開設するなどGIDへの総合的な支援を全国に先駆けて展開しているが、当事者・家族の会はなかった。会発足を中心的に担った幹事の野原ナオコさん(仮名)は「当事者同士が交流できる場の必要性を感じた」と設立理由を説明する。

 野原さんは40歳を過ぎた2006年に同病院を受診後、香川県の当事者グループに参加。それまでも普段は男性として暮らしながら隠れて女装するなどしていたが、「皆が前向きに生きているのを見て、女性として生きたい自分を自己肯定できた」。他の当事者に接することで初めて、妻にGIDを打ち明けられたという。

 数人で5月中旬に準備会を開き、会の規約や参加を呼びかけるちらしを作って精神科神経科や産科婦人科、形成再建外科、泌尿器科など関連する診療科に配布。専用のブログも開設した。

 6月下旬に同病院で初めて開いた茶話会には当事者や家族、医療関係者ら約30人が参加。趣旨説明や自己紹介をし、体験や悩みを語り合った。9、10月には「仕事について」をテーマにした意見交換や、少人数に分かれて自由に話し合いをする機会も設けた。

 今後は2カ月に1回程度開いていく予定。幹事の一人で当事者の森山瑞穂さん(仮名)は「『話を聞いてもらえて良かった』と涙ながらに話す人もいれば、職場にありのままを受け入れてもらっている人が来て、他の励ましになっている。今までつながりを持つ機会がなかっただけに、それぞれが安心して思いを語り、自分と向き合える会にしたい」と話している。

 会への問い合わせはメール(ougccircle@yahoo.co.jp)で。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年11月12日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ