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精神障害を理解して 偏見の現状リアルに あすなろ福祉会10周年記念、体験基に岡山で創作劇準備 

本番に向け、創作劇の練習に励むあすなろ福祉会のメンバー

 岡山市内で精神障害者の生活支援に取り組んでいる「あすなろ福祉会」が設立十周年の記念イベントを三月四日、岡山市古京町の三木記念ホールで行う。当事者たちが体験を基に障害への偏見問題を描く創作劇を企画。障害に対する理解を広め、深めようと練習に励んでいる。

 「何で僕が精神病院に入院せんといけんのじゃ」。看護師役の男性に腕をつかまれた青年が大声で叫ぶ。岡山市鹿田町の市保健福祉会館の一室。主人公の青年が病院に入院させられるシーンで、自らも統合失調症で入院経験のある男性(35)が迫真の演技を見せる。

 記念イベントで披露する創作劇「リカバリー2006―自分らしく生きていきたい」。五年前から同福祉会が福祉関連の行事で上演してきた劇をリメークし、台本を作成。出演する当事者ら約二十人が昨年八月から週一回程度練習を続けている。

 物語は、精神科病院に入院し挫折した青年が、同じ病気の女性との出会いや作業所の仲間の支えなどで立ち直り、自分の生活を取り戻す内容。妹の結婚式に出席できなかったり、女性患者との結婚を家族に反対されるなど、精神障害への偏見の現状を、体験を基にリアルに描く一方、「自分らしく生きたい」という強い思いを訴える。

 主人公役の男性は「当事者には障害があっても胸を張って生きていけばいいと伝えたいし、一般の観客には精神障害は誰にでも起きる可能性があることを知ってもらいたい」と話す。

 あすなろ福祉会は、一九八四年に作業所を立ち上げ、九五年に法人として認可。長期入院が問題となりやすい精神障害にあって、障害者が働く場として廃油のリサイクルせっけん工場やレストラン形式の作業所「ぱるスペースMOMO」(岡山市内山下)を立ち上げるなど、当事者の社会参加活動を支えている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年01月14日 更新)

タグ: 福祉

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