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岡山県内で変異株広がり始める 感染再拡大の“引き金”懸念

英国に由来する新型コロナウイルス変異株の電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)

 岡山県内で新型コロナウイルスの変異株感染が広がり始めている。7日までに計13人の感染が確定、これにスクリーニング検査段階の陽性者を加えるとさらに膨らむ見通しだ。変異株の感染者が突出して多い関西方面から流入したとみられ、感染再拡大の“引き金”になることが懸念される。県は独自に検査の対象を拡大して感染実態の把握を進めるとともに、県民に改めて対策の徹底を呼び掛けている。

 「今の近隣県の流れからすれば、県内でも変異株が主流になっていくことが想定される」。岡山県の伊原木隆太知事は7日の定例会見で、大阪府や兵庫県の感染状況を踏まえ、こう述べた。

 厚生労働省が同日公表した集計によると、国内では英国と南アフリカ、ブラジル由来の3種類の変異株が見つかり、6日現在、38都道府県で計886人の感染を確認。最多の大阪(205人)と2番目の兵庫(197人)の両府県で全体の約45%を占めている。9割以上が英国に由来する株で、従来型と比べて感染力が5~7割高く、重症化しやすい可能性も指摘されている。

 岡山県内では2月18日に2人の変異株感染が初めて確認され、3月に入って8人、今月も3人の感染が明らかになった。県によると、いずれも英国由来の株で、感染者に海外滞在歴がないことなどから、関西方面からの流入が疑われるという。また厚労省のまとめでは、直近1週間(3月31日~今月6日)の県のスクリーニング検査でさらに30人の陽性が確認されている。

 県は「市中感染に至っているかどうかを判断するには慎重な分析が必要」とする一方、今月2日には3月25~31日の新型コロナ新規感染者58人のうち、70・7%に当たる41人が変異株に感染したとする推計値を公表。関係者によると、既に変異株によるクラスター(感染者集団)が起きている可能性があるという。

 こうした状況を受け、県ではこれまで新規感染者の一定割合を対象としていた変異株のスクリーニング検査を、感染経路が同一とみられるものを除いた全てを対象に進めることに決定、県内感染者に占める割合を把握することで県民への注意喚起につなげ、よりタイムリーな対策にも生かしたい考えだ。

 クラスターに対応する県の専門家チームメンバーで、岡山大大学院の頼藤貴志教授(疫学・衛生学)は「変異株感染は県内でも増えていく可能性が大いにある」と指摘。近く住民への接種が始まるワクチンの有効性に期待を寄せた上で「感染拡大を防ぐにはマスク着用や3密回避といった基本的な対策の継続とともに、(原則努力義務の)ワクチン接種を受けることが重要だ」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年04月08日 更新)

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