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「REIC」前立腺がん治療 来月から臨床研究 岡山大 国審議会承認

公文裕巳教授

那須保友教授

 岡山大が発見した、がん治療遺伝子「REIC(レイク)」による前立腺がん治療の有効性と安全性を検証する臨床研究が22日、厚生科学審議会科学技術部会で承認された。岡山大病院の公文裕巳・泌尿器科教授と那須保友・新医療研究開発センター教授らが申請していた。早ければ2011年1月から患者への投与を始め、新たながん治療法の確立を目指す。

 臨床研究は、ホルモン療法が効かなくなったA群と、前立腺がんを摘出しても再発リスクが高いとみられるB群で実施。運び役となるアデノウイルスとREICを組み合わせたウイルス製剤(1ミリリットル)を患部に注入。治療効果を検証する。

 A群には初日と4週間後、B群には初日と2週間後に製剤を投与。対象は両群ともに12~18人。A群は8週目に治療効果を判定し、B群は病巣を摘出して状態を確認する。夏かぜの原因でもあるアデノウイルスの量を100億個、1千億個、1兆個と増やし、副作用も含めて最も安全で効果的な濃度を調べる。

 公文教授は「がんに対して大きな効果をもたらす画期的な治療法になりうる。早期の実用化を図り、多くの患者さんの役に立てたい」としている。

 REICは岡山大が2000年に発見。幅広いがん細胞を自滅させるうえ、がんに対する免疫力も活性化させる効果があることをマウス実験で明らかにしている。正常な細胞にはほとんど影響しないという。

 REICを活用した遺伝子治療は、岡山大発のベンチャー企業「桃太郎源」(岡山市北区津島中)が米国で前立腺がん患者を対象にした臨床試験を実施し、中国での製剤開発も進行中。岡山大病院では悪性中皮腫への臨床研究の実施を3日、院内申請している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年12月23日 更新)

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