ファスティング体験 食生活見直す機会に ヘルスピア倉敷
水島地区を一望する開放的な食堂。光を浴びて景色を眺めれば、ジュースだけの食事でもなかなか楽しめる
金政泰弘元岡山大医学部長(写真上)、ファスティング体験ができる「ヘルスピア倉敷」。アイススケートリンクなどもある
記者の食事メニュー(写真下)
訪れたのは同市連島町西之浦、大平山の中腹にある「ヘルスピア倉敷」。断食と聞くと宗教的な荒行をイメージする読者もいようが、ここは完全絶食ではなく、栄養豊富なにんじんジュース(1日1100~1200キロカロリー)を飲んで過ごす“プチ断食”スタイル。建物もシティーホテル風だ。中高年の女性や夫婦をはじめ、男性サラリーマンの利用も多いという。
体をリセット
「本当にこれだけ?」。初日の夕食を終えて正直こう思った。何しろ口にしたのはジュース3杯、合わせても600CCほど。有機栽培のニンジンをベースにリンゴを3対1程度の割合で加えて作るといい、口当たり良くおいしいが、ものの1分で飲み干してしまう。
先客の女性陣からは「普段どれだけ飲んだり食べたりしてるか、かえって思い知らされるわね」と反省に近い感想も聞こえてくる。
「単に痩せるのが目的というのではなく、不摂生な食生活でくたびれた体をリセットしてやろうというのが狙いなんです」。施設の医学顧問を務める金政泰弘・元岡山大医学部長(加計学園相談役)が説明してくれる。「体内の老廃物が排出されるデトックス効果やストレスから解放されるリラックス効果を口にする体験者が多く、すでにリピーターもいますよ」
金政氏は断食希望者や宿泊者の健康相談も行うが、「医療行為ではないので重い病気の人はもちろん、妊婦や子どももやらないこと。常用薬のある人はまずかかりつけ医に相談を」と注意を促す。
リバウンドなし
記者の場合、空腹感は2日目が最も強烈で、自室に用意されたしょうが紅茶やお茶をとにかく飲んだ。ショウガは体を温めるといい、おなかはすくものの、冷えや寒さに悩まなかったのはありがたかった。3日目には空腹感も気にならなくなり、散策や読書、館内の薬湯に入るなど、快適に時間を過ごせた。
ほかにも、併設されたスポーツ施設や近隣のゴルフ場・練習場で軽く汗を流したり、絵画や陶芸教室に参加するのもお薦めだそう。美観地区などへの送迎も行ってくれる。近く、フィットネスやエステもオープン予定だ。
4日目からはいよいよ普通の食事に戻すための「補食」と呼ばれるメニューに移り、玄米やおかずなどが加わった。断食後に食べる重湯の何とおいしいこと! 気がつけば、何度もかみしめるように食事を進めていた。
結局、記者は5日間でベルトの穴二つ分の体重を減らしたが、それ以上に、食と健康について考え、これまでの食生活を見直す機会を得たことが大きな成果だった。2週間以上たつ今もリバウンドせずにいる自分自身をみて、そう感じている。
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施設によると「最も効果が期待できるモデルコース」は9泊10日で、1泊からでも可能。1人1泊1万1000円~。問い合わせはヘルスピア倉敷(086―444―0885)。
レストラン、運動施設併設
ヘルスピア倉敷は、近接する倉敷芸術科学大(倉敷市連島町西之浦)の関連施設として、同大を運営する学校法人加計学園(岡山市北区理大町)が旧社会保険庁のサンピア倉敷をリニューアル。一般にも開放し、食やスポーツなどを通じた健康づくりを支援する。
食ではファスティングの宿泊プログラムを提供する一方、「地産地消」をテーマに岡山県産野菜やフルーツなどを使った料理が味わえるレストランも備え、“食べない健康”とともに“食べる健康”の興味にも応える。
スポーツ施設は屋内にアイススケートリンクやスカッシュコート、屋外にフットサルコートやテニスコート、プールを併設。スケートリンクは地元出身のバンクーバー冬季五輪フィギュアスケート銅メダリスト・高橋大輔選手が練習拠点にしていたことでも有名だ。
同大が今春、鍼灸(しんきゅう)師らを養成する「健康医療学科」を新設するのに合わせ、治療院なども開設される予定。
記者の食事メニュー
<1~3日目>
午前8時 にんじんジュース3杯=写真上
(適宜レモンと梅干し)
10時 具なしみそ汁1杯
正 午 にんじんジュース3杯
午後3時 しょうが湯1杯
5時半 にんじんジュース3杯
<4日目>
午前8時 にんじんジュース1杯
10時 玄米重湯、大根おろし
具なしみそ汁、梅干し=写真下
午後3時 しょうが湯1杯
5時 玄米おかゆ、おかず
<5日目>
午前8時 にんじんジュース1杯
10時 玄米、おかず
(2011年02月07日 更新)
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健康