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ロボットがん手術拡大 岡山大病院 患者の負担軽減 前立腺に続き胃の臨床研究

ダビンチSを用いて実施された胃がん切除手術=3日(岡山大病院提供)

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)が、手術ロボット「ダビンチS」を用いたがんの臨床研究治療を拡大している。出血が少なく患者への侵襲が低いことから、先行していた前立腺がんに続き、3日には胃がんの切除手術を実施。大腸がんのほか、子宮頸(けい)がんなどへの活用も検討している。

 ダビンチSは、複雑な動きが可能な鉗子(かんし)付きアーム3本と高性能カメラが付いた米国製ロボット。執刀医は手術台と離れた作業台に映る鮮明な3次元立体画像を見ながらアームを遠隔操作し、がんなどを切除する。

 岡山大病院は昨年8月に導入。泌尿器科が同10月に前立腺がん患者への手術を始め、これまでに8症例を実施している。手術時間は4〜6時間で入院期間は10日程度。いずれの患者も経過は良好という。

 初の胃がん手術は60代の女性患者(岡山県在住)に実施。3日午前11時ごろ、執刀医の西崎正彦消化管外科助教ら4人体制で始まり、目標とした6時間よりも早い5時間15分後に終了。同病院によると患者は順調に回復している。へその下を数センチ切開した穴からカメラを、脇腹の穴からアーム3本を挿入して行うことで、開腹による外科手術よりも出血が少ないなど患者の負担が軽いという。

 岡山大病院は今後、国に治療費の一部が保険適用となる先進医療への申請を行う方針。同大大学院医歯薬学総合研究科の藤原俊義消化器・腫瘍外科学教授は「胃がんのほか、大腸がん手術も申請中。より安全で高度な医療の提供に努めたい」としている。

 産科婦人科も子宮頸がん、子宮体がん手術への活用を目指し申請を準備中で、2011年中にも実施する。

ズーム

 ダビンチS 2009年11月に国が医療機器として認可。販売代理店によると、国内に導入されたダビンチは1月末現在、広島大病院などに16台。岡山大病院の導入費用は約3億2000万円。消化管外科や胸部外科、泌尿器科、婦人科などの領域の疾患に適応するが、いずれも保険適用にはなっていない。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年02月13日 更新)

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