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脳卒中どう対応 岡山大病院・阿部教授に聞く 早期治療で後遺症少なく 効果高い「超急性期」救急搬送先指定を

「脳卒中の後遺症を少なくするには素早い対応が不可欠」と話す阿部教授

 がん、心臓病に次いで日本人の死因として3番目に多い脳卒中。国内の患者は約134万人に上り、年間約13万人が死亡している(2008年、厚生労働省調べ)。重度の要介護となる主な原因でもあり、早期発見、治療が求められる。予防法や発症時の対応について岡山大病院の阿部康二・神経内科教授に聞いた。

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 脳血管の異常により脳組織が壊死(えし)し、手足や顔のまひ、言語障害、激しい頭痛などが急に起きるのが脳卒中で、血管が詰まる脳梗塞と血管が破れる脳出血、くも膜下出血に大別できる。高血圧、高脂血症、糖尿病が発症にかかわることが多いため、予防にはこれらの治療を怠らないことが第一。薬を飲むほかに、塩分や脂肪の少ない食事、運動の継続も心掛けてほしい。

 症状が現れた場合は即、発症直後の急性期患者の受け入れ態勢が整った病院に救急搬送しなければならない。脳卒中のうち8割を占める脳梗塞は内科、脳出血とくも膜下出血は外科が対応するため、診療科間の連携が必須だ。

 脳梗塞は発症後3時間以内の「超急性期」であれば、血管をふさいだ塊を溶かす薬「tPA」を静脈に投与する治療法の効果が高い。ただし24時間対応できる医療機関は限られている。発症のリスクが高い人や家族はこれらの機関を知っておいて、救急搬送先として指定するのも有効だ。

 tPAが使えない時は、梗塞の広がりを抑える薬や活性酸素による脳細胞の破壊を防ぐ脳保護薬を組み合わせて治療する。この場合も対応が早いほど後遺症を少なくできる。

 脳卒中の治療は急性期から、理学療法や作業療法などリハビリを集中的にする回復期、再発予防へ高血圧など基礎疾患の管理が要る維持期へのスムーズな移行も重要だ。岡山県内では各期ごとに役割を果たす計137医療機関(1月5日現在)が連携し、地域ごとに患者情報を共有するクリティカルパス(診療計画書)を導入している。活用して切れ目なく適切な診療を受けてほしい。

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超急性期の専門医療機関
(24時間対応、岡山県内)

【岡山市】
国立病院機構岡山医療センター
岡山旭東病院
岡山市立市民病院
岡山赤十字病院
岡山大病院
川崎病院
岡山済生会総合病院
岡山労災病院
岡山東部脳神経外科岡山クリニック

【倉敷市】
川崎医科大付属病院
倉敷中央病院
倉敷平成病院

【真庭市】
金田病院

【津山市】
津山中央病院

 ※tPAの静脈内投与による血栓溶解療法が実施可能なことなどが要件=1月5日現在
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年02月13日 更新)

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