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水中歩行 無理せず水と戯れる

水中歩行をする高槻さん。プールの手すりを使って歩くと水に慣れやすい

 水中歩行は筋力を高めたり、身体の機能回復にも役立つといわれる。初心者へ「気軽にプールに入り、1回30分以内で無理せず水と戯れながら歩こう」と助言するのは、岡山県南部健康づくりセンター(岡山市北区平田)の運動指導員高槻祐子さん。水の特性や歩行の留意点を高槻さんに聞いた。

◇ 水中歩行で頭に入れておきたい水の特性は浮力、水圧、抵抗、水温の四つ。

 浮力により、抗重力筋(重力に対して姿勢を保つため緊張を余儀なくされている筋肉)が解放される。体重は水深がへそ位置なら2分の1、胸位置では4分の1になり、陸上歩行に比べて膝や腰への負担が少ない。

 水圧が足先までかかることで血液循環が良くなる。水深が胸位置なら呼吸筋を鍛えられる。水の抵抗は、体を大きく動かしたり動きが速いほど大きくなり、筋力や持久力の強化につながる。

 水温は「ちょっと冷たいと感じる30〜31度が水中歩行の適温」と高槻さん。水の熱伝導率は空気の27倍といわれ、体温より低い水中で歩くと、体温を一定に保とうとする生理機能が働き、体内での脂肪燃焼がより活発になる。水中でも汗をかいているので水分補給が定期的に必要になる。

 歩き方の基本は前歩き、後ろ歩き、横歩きの三つ。

 前歩き=イラスト(1)=は足裏全体を使い、できれば大股で歩く。有酸素運動と筋力トレーニングの効果がある。水の抵抗が大きくなると体が反り、腰を痛める恐れがあるので、姿勢はやや前かがみが良い。前方へキックしたり、膝を上げる歩き方もある。

 後ろ歩き=同(2)=は水の抵抗が少なく、すり足で歩け、リラックス効果も大きい。かかとを後方へ跳ね上げる変形の歩き方(レッグカール)で脚の後ろ側の筋肉をより鍛えられる。

 横歩き=同(3)=は歩幅を大きく、脚といっしょに手も開閉する。開いた脚を素早く閉じるのがポイントで、太もも内側の内転筋を鍛えられ、膝痛予防につながる。

 高槻さんは「歩行から水泳へと段階が進めば、プールの楽しみも増える」と話す。脳梗塞で左片まひになった77歳男性が同健康づくりセンターで水中歩行を行い、1年間で脚力と持久力が向上、クロールと背泳ぎができるようになった例もある。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年02月21日 更新)

タグ: 健康

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