文字 
  • ホーム
  • 岡山のニュース
  • HIV感染関与のタンパク質発見 岡山大・筒井公教授ら DNAを識別・結合 新薬開発に期待

HIV感染関与のタンパク質発見 岡山大・筒井公教授ら DNAを識別・結合 新薬開発に期待

筒井公子教授

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の筒井公子教授(神経ゲノム学)、筒井研教授(遺伝情報動態学)らの研究グループは27日までに、動物の細胞内で活発に働くDNA(デオキシリボ核酸)を識別して結合するタンパク質を発見。このタンパク質がエイズウイルス(HIV)のDNAに結び付き、ヒトのDNAに入り込むよう導いていることを突き止めた。新薬開発につながる成果として注目される。

 両教授は、細胞の核内のDNAのうち、らせん構造がさらにねじれた「超らせん構造」の部分の遺伝子が活発に働いていることに注目し、ラットで実験。ラットの脳の神経細胞内のタンパク質を分類し、超らせん構造のDNAと結合するタンパク質「SBP75」を探し出した。SBP75は、人体内でも同様に機能することがヒトの培養細胞を使った実験で確認できた。

 さらに、SBP75を構成するアミノ酸の配列を調べたところ、HIVのDNAが細胞内のDNAに入るときに必須とされるタンパク質と同一で、感染にかかわっていることが分かった。

 HIVは脳の神経細胞や血液の免疫細胞に感染する。新たな治療法として、SBP75の超ねじれ構造に直接取り付く部分だけを、これらの細胞に入れ、HIVのDNAが結合する場所をブロックする方法が考えられている。

 筒井公子教授は「臨床研究者らと協力して新タイプのHIV治療薬の開発をはじめ、さまざまな病気の遺伝子治療に応用できる」としている。

 研究成果は、英国の分子生物学専門誌ヌクレイック・アシッズ・リサーチに発表した。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年02月28日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ