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悪性中皮腫を承認 治療遺伝子臨床研究 岡山大病院 11年度内投与開始

 岡山大病院の新規遺伝子治療臨床研究審査委員会は9日、同大が発見したがん治療遺伝子「REIC(レイク)」を活用した悪性中皮腫の臨床研究治療の実施を承認した。3月に国へ申請、2011年度内に患者への投与を始め、安全性の確認と治療効果を評価する。

 アスベスト(石綿)が主な原因とされる悪性中皮腫は、規制の遅れなどから、今後40年間で10万人以上が死亡するとされる。同病院によると、患部の切除手術や肺がん治療薬の一部が有効だが、1年生存率は50%ほどで、新薬の開発が急務となっている。

 研究は呼吸器外科の豊岡伸一助教や遺伝子・細胞治療センターの公文裕巳センター長らが実施。外科手術では完全に治療することができない患者18〜30人の胸腔(きょうくう)内か腫瘍部に、レイクと運び役となる「アデノウイルス」とを組み合わせた薬液数十CCを注入。薬剤を5段階で増やしながら投与し、4週間かけて副作用の有無や腫瘍の縮小などを調べる。

 この日、豊岡助教や新医療研究開発センターの那須保友教授らが岡山大鹿田キャンパス(岡山市北区鹿田町)で会見。「多くの患者さんが新薬に期待している。できるだけ早期に臨床研究に着手し実用化したい」とした。

 2000年に同大が発見したレイクによる治療は、がん細胞のみを自滅させ、がんに対する免疫を活性化させることなどが分かっている。同病院は現在、前立腺がん患者を対象に臨床研究を実施し、これまでに5人に投与。副作用はないという。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年03月10日 更新)

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