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便秘の予防 しっかり朝食、適度な運動

瀧上隆夫・チクバ外科・胃腸科・肛門科病院長

 人間が生きていく上で大切な排便。しかし、高齢社会が進むにつれ、便秘などの排便障害に悩むお年寄りが増えている。チクバ外科・胃腸科・肛門(こうもん)科病院(倉敷市林)の瀧上隆夫院長は「排便の悩みは気分が優れず、外出もおっくうになるなどQOL(生活の質)が低下する」と指摘し、「日ごろからバランスの良い食事、適度な運動、ストレスの解消を心掛け、規則正しい排便習慣を」と話す。

 食べた物は食道、胃、小腸、大腸を通りながら消化され、栄養素や水分が吸収された後、直腸に便としてたまり、便意を生じさせる―というのが排便の仕組み。周期には個人差があるが、「基本的に3日に1回でもスムーズに便通があれば良い」と瀧上院長。「逆に毎日便通があってもコロコロ便や細い便などで“すっきり感”が得られなければ便秘と言える」と説明する。

 便秘を訴える人は加齢とともに増える傾向にある。食欲が落ち、胃腸の働きも弱まるため、便の量自体が少なくなる▽直腸・肛門から便を押し出す筋力が低下する▽感覚が鈍くなり、便意を感じにくくなる―などが理由。排便を気に病むと、トイレに行かなくて済むようさらに食事の量を減らすなど悪循環に陥るケースも多い。

 予防には生活習慣の見直しが不可欠。具体的には、朝食をしっかり食べ、3食を通じて穀物や野菜などの食物繊維、水分、腸内環境を整える乳酸菌・ビフィズス菌やオリゴ糖をとる。散歩するなど適度な運動で腸の働きを活発化させる。便通には自律神経も深く関係するため、ストレスを解消し、精神の緊張をほぐす。改善が進まない場合は下剤などの薬物療法も。

 気をつけなければならないのは、疾病による排便障害。大腸がんのほか、周辺筋力が低下して直腸が肛門の外に飛び出す「直腸脱」、女性では直腸が膣(ちつ)に向かって膨らみ、息んでも便が出ない「直腸瘤(りゅう)」などは手術が必要な場合もある。「直腸脱」などでは、便が漏れてしまう「便失禁」も起こりやすい。

 瀧上院長は「何かおかしいと思ったら、一人で悩まずに近くの専門医で検査を」と言う。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年11月01日 更新)

タグ: がん健康

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