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慢性疾患者、調剤へ薬特定難航 東日本大震災 自分の薬覚えてない・・ 専門家「情報メモし携帯を」

被災地で江川准教授らが薬の特定に使った錠剤のサンプル写真

江川就実大准教授

 東日本大震災発生から3週間。被災地では、糖尿病や高血圧など慢性疾患の高齢者らをめぐる状況が深刻化している。継続的な治療が必要だが、薬を調剤しようにも「自分の薬が何かを把握していない人が多く、特定が難航した」と、薬剤師として現地で活動した江川孝就実大准教授(46)=岡山市北区天神町。万一に備え、患者や家族が薬を確認しておく必要性を訴えている。

 江川准教授は、日本薬剤師会の呼び掛けに応じて医療ボランティアに参加。26〜29日の4日間、津波被害の大きかった宮城県石巻市で避難所などを巡回しながら活動した。大規模災害時には、例外的に医師の処方が無くても調剤が認められており、連日700〜千人の患者に約20人の薬剤師で対応。うち、3割ほどが高血圧や不整脈、糖尿病などの慢性疾患だったという。

 ふだん服用している薬の種類を患者に聞いたが、自分の薬を知らなかったり、覚えていないケースがほとんど。そうした場合は錠剤の写真を見せて確認するが、その種類は千を超える上、名前が分かっても、成分量などによって複数種類があるため特定は難しかったという。

 しかし、薬がなければ糖尿病は昏睡(こんすい)状態になったり、高血圧ならば脳梗塞を引き起こす場合も。「慢性疾患の患者にとって薬は“命の綱”だが、種類や量を間違えたら、かえって病気を悪化させる。聞き取りは慎重を期した」と江川准教授は振り返る。

 加えて、患者数の多い高血圧などの薬は「種類によっては不足気味」。周囲への遠慮からか、薬が切れそうになっても申し出ない患者も少なくない。薬を飲まずに症状が悪くなり、病院に運び込まれるまで我慢したケースもあった。

 江川准教授は「ただでさえ避難生活はストレスがたまり、病気が悪化しやすい。いざというときに備え、服用薬の情報をメモに書いて携帯するなど準備すべきだ」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年04月01日 更新)

タグ: 健康

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