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東日本大震災「継続的な心のケアを」 宮城に派遣 岡山県精神科医療チーム・来住リーダー活動報告

被災地への継続的な支援の必要性を訴える来住医療部長

 東日本大震災による津波に街の大部分がのみ込まれた宮城県南三陸町へ「心のケアチーム」として派遣された県精神科医療センターの来住(きし)由樹医療部長(46)が16日、帰任後初の活動報告を岡山市内で行った。今後現地に向かう医師らを対象にしたもので、時間の経過とともに支援に携わる被災者にも精神疾患が出ている現状を踏まえ、継続的なケアの必要性を訴えた。

 来住医療部長は震災発生6日後の3月17日にチーム第1陣(8人)のリーダーとして被災地入り。第4陣(4月5〜12日、9人)でも務め、チームは南三陸町に約50カ所ある避難所などで14日までに185人を診療した。

 当初の被災地の様子について「精神科医療機関が機能しておらず、津波で家族を亡くした人は喪失感に襲われ、統合失調症など既往症のある患者らの病状も悪化していた」と説明。このため、チームは日々の手当てに追われ、継続的な治療が難しかったという。

 避難生活が長引く中で発生している新たな問題も。身体的限界から高齢者を中心にストレスを訴える人が急増。他の被災地では自殺者や、救助できた人が少ないという自責の念にさいなまれる自衛隊員らがいるといい、「医療を施す現地の医師や看護師らも被災者が多く、心のケアが必要だ」とした。

 また、避難所にはカウンセリングを口実にカルトとみられる集団が出没した例も。「人の出入りをチェックし、安全を確保するよう要請した」と話した。

 チームは6月上旬まで、1週間ごとにメンバーを入れ替えながら被災地に派遣される予定。報告会は県精神科医会と県医師会精神科部会が合同で開き、医療関係者や心のケアチームに参加予定の精神科医ら約60人が聴講した。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年04月17日 更新)

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