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乳がん(おおもと病院) おおもと会 励まし合い30年、情報交換も

支え合いの場となっている「おおもと会」の会合=昨年6月、岡山市内のホテル

 乳がん体験者でつくる「おおもと会」は今年結成30周年。年に1度集まっては再会を喜び、世代を超えて親睦を深める。悩みを打ち明け、情報交換するなど“支え合いの場”にもなっている。

 同会は1981年、開院4年後のおおもと病院の乳がん患者たちが「同じ病気の話ができる会を」と結成。近年は岡山市内のホテルなどを会場に毎回100人前後が集まり、医師の講演を聞いて乳がんへの理解を深め、音楽などのステージを楽しむ。年齢層は40〜80代と幅広く、母娘や嫁姑しゅうとめでというケースも。5年ごとに機関紙「華」も発行する。

 当初から参加する石井美津枝会長(82)は「『皆元気に生きているから私も大丈夫』と明るくなってもらえるよう、“同病相憐あわれむ”ならぬ“同病相励ます”の思いでやってきた」と振り返る。

 もっと話せる機会をと、今年2月から3カ月に1度の「おおもとピンクリボンの会」もスタート。5月の会合では、10人ほどが1時間余の予定時間を大幅に超えて悩みや体験を語り合った。

 子どもにがんを打ち明けるタイミング、入院で家を空ける際に近所にどう説明するか…。「抗がん剤治療で髪が抜けて悩んでいる人に、不要になった人がかつらを貸そうと申し出られることも。体験した人でなければ分かり合えないことも少なくない」と30年間事務局としてかかわる今瀧清子総看護師長。

 乳がんは治癒率が高い一方、10年を超えて再発するケースもあり、長期にわたる治療や観察が必要。相談に応じる乳がん看護認定看護師の大久保茂美さんは「患者さんの不安は治療中も治療が終わった後も続き、終わりがないと感じている。今後もしっかり情報を提供し、サポートに努めたい」と力を込める。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年06月06日 更新)

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