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国保医療費、男性で増加 岡山市が初分析 05〜10年の5月分 「早期受診呼び掛け必要」

月額医療費の推移

医療費の年齢別内訳

 岡山市は、初めて実施した国民健康保険(国保)事業の医療費分析の結果をまとめた。女性に比べて男性の医療費の伸びが目立っており、抑制対策として高齢男性への早期受診の呼び掛けや、自宅で療養できる環境づくりなどを挙げている。

 2005〜10年の各年の5月診療分について、医療機関から県国民健康保険団体連合会(国保連)に出された診療報酬明細書(調剤費など除く、10年は約13万9800件)で分析。分析は国保連に委託し、岡山大と吉備国際大短大部の研究者が監修した。

■医療費  

 月間医療費は、07年の約76億9700万円から、75歳以上が後期高齢者医療保険に移った08年は約37億4200万円と大幅に減少。その後は09年約37億8900万円、10年約38億4100万円と増加している。

 男女別をみると、08〜10年に女性は0・06%減少する一方、男性は5・2%増加。外来の医療費は男女ともほぼ横ばいだったが、入院の医療費で男性の伸びが目立った。監修した岡山大の研究者は「外来を受診する余裕が女性より少なく、重症になるまで受診しない傾向がうかがえる」としている。

 年齢別では、20〜39歳は08〜10年に4・5%減。逆に60〜74歳は4・8%増で、全体の7割弱を占めている。

■病気別  

 月間医療費を病気別に19分類。10年は「循環器系」が16・9%を占め、「がん」12・9%、「精神・行動の障害」10・0%、「歯科疾患」9・0%―などと続いた。

 循環器系は、高血圧、糖尿病、脳卒中、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)の順に多かった。虚血性心疾患の患者を中学校区別にみると、男性は御津、妹尾、興除、上南、女性は建部、足守、興除、山南で割合が高かった。

■対 策   

 後期高齢者医療制度を廃止する国の方針を踏まえ、75歳以上も含めた医療費の将来推計を算出。同制度導入前の07年の医療費を100とした場合、15年に125、20年に135に増えると予測した。中でも入院医療費は15年に128、20年に140に達すると見通している。

 医療費抑制に向けては、押し上げ要因となっている高齢男性に早期受診を呼び掛けて重症化を防ぐことや、医療費が高額な人工透析患者を減らす必要性を指摘。入院費を抑えるため、医療と介護の連携などで自宅療養しやすい環境整備も挙げた。

ズーム

 国民健康保険 自営業者や退職者ら他の医療保険に属さない人を対象とする公的医療保険。岡山市の加入者は6月末現在、10万1465世帯の16万8055人。高齢化に伴う医療費増加で同市の国保特別会計は収支が悪化しており、2007年度から一般会計からの法定外繰り入れを続けているものの、10年度決算(見込み)の累積赤字は約11億4800万円に上る。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年08月05日 更新)

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