文字 
  • ホーム
  • 岡山のニュース
  • 有機ガス高感度センサー 病気診断へ応用期待 岡山理科大・秋山教授ら開発 従来の25分の1でも反応  

有機ガス高感度センサー 病気診断へ応用期待 岡山理科大・秋山教授ら開発 従来の25分の1でも反応  

セレン・ナノワイヤを使ったセンサー。チューブ内の四角い金属片にナノワイヤが挟まれている

秋山宜生教授

 岡山理科大工学部の秋山宜生教授(電子物性)らの研究グループは、半導体の一種・セレンのナノワイヤ(繊維状微結晶)を活用した高感度の有機ガスセンサーを開発した。酸化スズを使う従来機器と比べて25分の1の濃度でも反応するため、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドなどを高い精度で検出でき、病気診断への応用も期待される。

 センサーは、ごく少量のセレン・ナノワイヤを銅の電極に挟んだ単純な構造。セレン・ナノワイヤは有機ガスと接触すると電気が流れにくくなる特性があり、電流の低下率から、有機ガスの種類が分かっている場合は濃度を、濃度が分かっている場合は種類を特定できる。

 アルコール、ホルムアルデヒドなど11種の有機ガスに対する電流の低下率を実験で明らかにし、他の有機ガスでの低下率を予測する計算式も確立して活用の幅を広げた。同じ半導体である酸化スズのセンサーで測定できる有機ガス濃度の下限は50ppmだが、セレン・ナノワイヤは2ppm。酸化スズのように使用時にセンサーを熱する必要がない上、使うセレンも少量で済む。

 秋山教授らは2004年、同大理学部の大谷槻男教授(固体化学)が、結晶化していないセレンがエタノールなど特定の有機溶液に漬かるだけでナノワイヤになることを発見したのを機に、応用を検討していた。

 また有機ガスは、呼気中のアセトアルデヒドが食道がんや咽頭がん、アセトンが糖尿病と関係するため、高感度のセンサーは病気診断に活用できる可能性もある。秋山教授は国内、国際の特許を出願中で、「企業の協力を得て耐久性を確認し、実用化につなげたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年08月06日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ