文字 

ハンセン病「支援員」本年度で廃止 岡山県方針

社会復帰支援員の廃止方針が報告された岡山県ハンセン病問題対策協議会=岡山市内

 岡山県は26日、瀬戸内市の国立ハンセン病療養所「長島愛生園」「邑久光明園」入所者の社会復帰を目指し、独自に設けていた「社会復帰支援員」を本年度で廃止する方針を明らかにした。国の強制隔離政策を断罪した熊本地裁判決(2001年5月)以降、地域社会での生活実現を柱の一つとしていた県の施策は、入所者の高齢化などを理由に転換期を迎えた。

 国や県は、これまで「差別と偏見の解消」「社会復帰」「在園保障」を3本柱に、住宅費の一部助成や医療費補助などの施策を展開。社会復帰については2園の入所者の平均年齢が82歳となり、支援員の本来目的に沿った利用が減ったため廃止を検討してきた。

 同日、岡山市内で開かれた「県ハンセン病問題対策協議会」で廃止の方針を表明。2園の入所者自治会も「今後は社会復帰の見込みはゼロに近い」として了承した。

 支援員制度は02年7月、県が行政としては全国で初めて導入。県医療ソーシャルワーカー協会に委嘱し、30人前後の支援員が毎月2回、2園を訪れて社会復帰後の在宅医療確保に向けた医療機関との連絡調整などを担ってきた。01年度以降の社会復帰者は計58人。うち支援員が携わったのは10人にとどまる。

 現在の入所者は愛生園310人、光明園175人。来年度以降について、県医療ソーシャルワーカー協会は、市民ボランティア「ゆいの会」が行っている、買い物や旅行への同行、話し相手としての活動に協力。県の住宅費の一部助成や医療費補助は継続されるという。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年08月27日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ