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脳死肺、肝移植を同時実施 岡山大病院で初

脳死移植手術を前に会見する八木教授(右)と大藤チーフ

 日本臓器移植ネットワークは18日、東京医科大八王子医療センターに、くも膜下出血で入院していた40代男性が臓器移植法に基づき脳死と判定されたと発表した。岡山大病院(岡山市北区)では20代男性に両肺を、60代男性に肝臓を移植する手術が18日夜から19日未明にかけて行われた。二つの異なる臓器を同時に移植するのは岡山大病院では初めて。

 ドナー(臓器提供者)の男性は意思表示カードに臓器提供の意思を示していた。脳死臓器提供は1997年の同法施行後、147例目。岡山大病院の脳死移植は肺が28例目、肝臓が6例目。腎臓1例を合わせ35例目となる。

 臓器は肺が18日午後9時10分、肝臓は同10時40分に岡山大病院に到着。移植手術はいずれも到着前に始まり、臓器が機能を失うまでの猶予時間が短い肺は大藤剛宏肺移植チーフを執刀医に同7時3分から、肝臓は八木孝仁肝胆膵(かんたんすい)外科教授が同7時48分から行った。

 肺の患者は心臓から肺に血液を送る血管が狭まって血圧が高くなり、心不全に至る肺動脈性肺高血圧症で昨年、移植ネットへ登録。肝臓患者は胆管が硬化するなどして機能が低下する原発性硬化性胆管炎で今年登録した。

 手術前に執刀医2人が会見。同時移植について、八木教授は「病院としての対応力が試される。全力を尽くしたい」。大藤チーフは「法改正で脳死ドナーが増え、実現した。ドナーご本人、ご家族の意思に報いたい」と述べた。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年09月19日 更新)

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