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免疫活性化に特定タンパク 岡山大大学院・鵜殿教授ら関与解明 がんや膠原病、新薬開発へ期待

鵜殿平一郎教授

HSP90の役割

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の鵜殿(うどの)平一郎教授(免疫学)らの研究グループは、がん細胞を攻撃するキラーT細胞の活性化に、タンパク質の一種・HSP90が重要な役割を果たしていることを突き止めた。がん治療薬などの開発につながる成果として注目される。19日、米科学アカデミー紀要電子版に掲載された。

 キラーT細胞は、免疫反応を引き起こすがん抗原の断片と結合することで、がん細胞を攻撃するように活性化する。抗原は免疫細胞の一種・樹状細胞に取り込まれて移動、断片化されるが、そのメカニズムの詳細は解明されていなかった。

 鵜殿教授らは細胞内のタンパク質の移動にかかわるHSPに注目。遺伝子操作でHSP90をなくしたマウスと正常なマウスの骨髄の樹状細胞を使い、それぞれに抗原を注入して蛍光顕微鏡や画像解析装置で動きを比較観察した。

 HSP90のない樹状細胞内では抗原が脂質膜の小胞(袋)内にとどまっているのに対し、正常細胞では抗原がスムーズに小胞外へ出ていることなどから、HSP90が抗原を小胞から引き出して断片化に導いていると結論付けた。

 キラーT細胞ががん細胞やウイルス感染細胞を攻撃する力を強めるためHSP90を増やしたり、関節リウマチや膠原(こうげん)病など免疫の過剰反応による疾患治療のためHSP90の機能を阻害する薬の開発につながると期待されている。鵜殿教授は「薬理学者と共同研究を進め、5年以内に臨床試験につなげたい」と話している。

 研究は理化学研究所と共同で行った。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年09月20日 更新)

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