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(上)3つのタイプ 岡山ハートクリニック 日名一誠院長

 ひな・かずよし 総社高、三重大医学部卒。岡山大第一内科で研修後、カテーテルアブレーションに取り組む。心臓病センター榊原病院副院長などを経て2009年3月から岡山ハートクリニック院長。

 心臓は全身に血液を送るために、一定のリズムで収縮を繰り返しています。この拍動をつかさどっているのが、右心房にある洞結節と呼ばれる部分です=図1参照。ここからの規則的な電気信号が、電気の流れ道(正常伝導路)を通って、心房→心室と順番に心臓を収縮させ、一定のリズムを保っているわけです。このリズムが乱れたり、突然に速くなったり、遅くなったりするのが“不整脈”です。

 不整脈にはいくつかのタイプがあり、心配ないものから命に関わるものまで、それぞれに対処法が異なります。

 不整脈は大きく分けて、(1)期外収縮(2)脈が速くなる頻脈性不整脈(3)脈が遅くなる徐脈性不整脈―の三つのタイプに分けることができます=図2参照。これらについて簡単に説明します。

 (1)期外収縮

 心臓のリズムをつかさどっている洞結節以外の部位から、早いタイミングで電気信号が出ることにより生じます。その電気が出る場所により、上室性(心房性)期外収縮、心室性期外収縮と呼ばれます。心臓はその早いタイミングの電気につられて拍動してしまいますので、敏感な人は「心臓がドクンとする、突き上げる、脈が飛んだ」というように表現されますが、自覚症状のない人も多いと言われます。一般的には、治療を必要としない安全な不整脈ですが、時に狭心症、心筋梗塞などの前触れのことがあります。一度は、心臓の器質的な病気がないことを確認しておきましょう。

 期外収縮単独であれば、体への影響はないことが通常ですので、気にせず生活するようにお話ししますが、どうしても気になって生活の質(QOL)に関わるようなら、薬物療法やカテーテル治療(心筋焼灼術=カテーテルアブレーション)の対象になることもあります。

 (2)頻脈性不整脈

 拍動が急に速くなる不整脈です。種類によっては、脳梗塞や突然死の原因になったりします。また長く続けば、心臓が弱って心不全になったりします。この原因については次回で詳しく述べます。症状は、拍動の速さによって異なります。一般には「動悸(どうき)=ドキドキ感」「胸苦しさ」「揺れるような感じ」などと表現される方が多いです。拍動がさらに速くなると、心臓が空打ち状態になり、「フーッとする」と表現され、脳虚血、失神、心停止に至ることもあります。

 カテーテル治療がもっとも進歩したのが頻脈性不整脈ですので、多くの場合でカテーテル治療での根治が期待できます。

 (3)徐脈性不整脈

 拍動が遅くなったり、一時的に停止したりする不整脈です。拍動が少なくなると、心臓から送り出される血液の量が減少しますので「息切れ」「だるさ」を訴える人が多いです。

 また心臓が4秒以上停止すると、脳虚血、目まい、失神の原因となり、転倒したりして2次的な事故につながることもあります。拍動が急に止まるタイプは通常検査で異常が出ないことも多く、注意が必要です。ペースメーカー治療が中心となります。

診断 

 不整脈のタイプを見分けるには、発作時の心電図を見ることが最も確実です。ただ通常の心電図検査では、非発作時のことが多く、不整脈が記録されないため、診断がつかずに自律神経とか更年期などと診断されているケースもよく目にします。そこで最近では、24時間心電図などに加え、携帯型心電図や最高40日間の不整脈の自動検出記録装置など発作時の心電図をとらえるための装置が工夫され、使用されています。

 まずはきちんとした診断が第一です。診断がつけば、最近ではカテーテル治療などの進歩も著しく、適応があれば根治も可能になっています。気になるようでしたら一度専門医を受診してみてください。



 岡山ハートクリニック(岡山市中区竹田54の1、電話086―271―8101)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年09月19日 更新)

タグ: 心臓・血管

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