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がん細胞死の仕組み解明 岡山大病院・藤原教授ら 独自開発ウイルス製剤「テロメライシン」使用時

藤原俊義教授

田澤大助教

 岡山大病院の藤原俊義教授(消化器外科)と田澤大助教(遺伝子治療)らの研究グループは、独自開発したウイルス製剤「テロメライシン」が、がん細胞内で特定のマイクロRNA(リボ核酸、miR)の発現を誘導し、がん細胞を死滅させていることを突き止めた。同製剤が有効ながんの種類を探る手がかりになる成果という。22日に大阪である国際微量癌がんシンポジウムで発表する。

 テロメライシンは無害化したアデノウイルス(風邪ウイルスの一種)と、細胞ががん化した時にだけ活性化する遺伝子の一部を結合させたウイルス。がん細胞内で急速に増え、細胞死を誘導する。2006年から米国で臨床試験を行い、一定の腫瘍縮小効果や安全性を確認している。

 田澤助教らは、フラスコ内で食道がん、肺がん計3種類のがん細胞株にテロメライシンを導入。3日後、2種類のがん細胞の多くが死滅しているのを確認した。死滅したがん細胞内のmiRの発現状態を調べると「miR7」が増えていたが、生き残った細胞に変化はなく、「miR7」ががんの細胞死に大きく関与していることが分かった。

 さらに「miR7」が増えると、細胞増殖などにかかわるタンパク質「EGFR」の発現量が減って、がん細胞に強い自食作用(オートファジー)を促し、死滅させているという仕組みも確認した。

 国内のテロメライシンの臨床研究は、岡山大が食道がん、肺がん患者らを対象に国へ申請を準備中。承認されれば12年中にも着手する。田澤助教は「細胞死の仕組みで解明できたのはほんの一部。研究を進め国内での臨床研究に備えたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年09月22日 更新)

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