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中国での「移植ツーリズム」実態調査へ 岡山大大学院・粟屋教授 患者100人アンケート

粟屋剛教授

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の粟屋剛教授(生命倫理学)は10月から、日本人が中国に渡航して臓器移植を受ける「移植ツーリズム」に関する国内初の実態調査に乗り出す。同国での移植に伴う患者の心理や手術後の健康状態などを調査。渡航移植にかかわる倫理的、法的な問題などを明らかにする。

 粟屋教授によると、「移植ツーリズム」は先進国の富裕層が発展途上国などに渡り、移植を受けること。受け入れ先の国民の移植機会を減らしたり、臓器売買につながりやすいことから、世界的に批判が高まっている。

 国の調査では1984〜2005年末に海外で移植した日本人は、心臓103人、肝臓221人、腎臓198人。心臓は欧米の病院で行われ、斡旋(あっせん)・紹介元はすべて明確。一方、肝臓や腎臓は中国やフィリピンが含まれ、斡旋・紹介元の回答がないケースがあり、移植ツーリズムの患者が含まれているとみられる。

 国の助成事業として行う今回の調査は、医療従事者や報道関係者ら粟屋教授のネットワークを活用。中国で移植を受けた患者100人に年齢や費用のほか、「中国での移植は、日本でも法律違反にならないことを知っていたか」「中国で移植することを後ろめたく思ったか」「術後、罪の意識が生じたか」など31問のアンケートに匿名で答えてもらう。

 同国では死刑囚からの臓器提供があるとされており、「病院からドナー(臓器提供者)が死刑囚と知らされたか」などの問いも設けた。

 粟屋教授は「12年度内に調査を終わらせ、移植ツーリズムに潜む問題点を浮き彫りにしたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年09月29日 更新)

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