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統合失調症の夫妻(倉敷)手記 共感の声続々 専門誌掲載 結婚、出産、育児…喜びや悩み

 ともに統合失調症を患う倉敷市安江、中田孝博さん(53)、幸さん(40)夫妻の手記が精神医療の専門誌で紹介された。結婚や出産、育児に関する喜びや悩みなど、在宅生活の哀歓がつづられ、読者からも共感の声が寄せられている。

 手記は「結婚も出産もあきらめない!〜生きているから」と題し、幸さんが執筆。日本評論社(東京)の月刊誌「こころの科学」の臨時増刊号(9月下旬発行)に掲載された。

 統合失調症は精神障害の一つで、妄想や幻覚などの症状が現れる。孝博さんは24歳で発症し、2度の強制入院を経験。幸さんは幼少期の虐待体験からリストカットや過量服薬を続け、短期入院を繰り返してきた。

 2人は3年前、障害者の自立をサポートする倉敷地域生活支援センター(倉敷市生坂)で出会った。互いの「過去」を打ち明け、やがて「未来」を話し合うようになり結婚。当初、子どもへの障害の遺伝を懸念していたが、根拠のない偏見と知って出産を決めた。

 妊娠中は服薬を減らした影響で幸さんが幻聴に悩まされたり、2人の子育てを心配する周囲の声に傷ついたりもした。手記では、そうした苦労や嫌な思い出が出産で吹き飛んだことを紹介。「産声が忘れられない。とても、とても幸せな時が流れた」と記す。

 男児は順調に育ち、現在1歳。2人は「わが子に数え切れないほどの勇気をもらった」と感謝する。

 出版社を通じ、2人の元には同じ障害に悩む読者らから「心温まる」「勇気づけられた」との反響が寄せられる。幸さんは「書いてよかった」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年10月13日 更新)

タグ: 脳・神経

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