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自宅待機になった際の対応は 岡山県などにポイント聞く

 新型コロナウイルスの感染者や濃厚接触者となった場合に求められる自宅待機。オミクロン株の急拡大により岡山県内では、感染による待機者は5536人(9日現在)に上り、濃厚接触者を含めるとさらに膨らむ。保健所業務の逼迫(ひっぱく)を受け、県などは無症状や軽症者、濃厚接触者への対応を省力化。「もし今、自宅待機になったら」―。県や保健所設置市の岡山、倉敷市を取材し、ポイントや注意点を探った。

 

期間 発症した翌日から10日間


 医療機関での検査で感染が判明すると管轄する保健所から電話がかかってくる。せきや発熱といった症状や重症化リスクに関する聞き取りがあり、入院か自宅待機かが判断される。岡山市では聞き取りに加え、ウェブの専用フォームから感染者本人に症状などを入力してもらうシステムも併用している。

 自宅待機の期間は症状の有無で異なる。症状がある場合は発症した翌日から数えて10日間。無症状は検体を採取した日の翌日から7日間となる。期間の最終日には保健所から電話があり、症状の有無などを確認した上で解除が告げられる。

 濃厚接触者となった場合も自宅待機を求められる。感染者と最後に接触した日から7日間で、期限が過ぎれば自動的に解除される。

 医療や警察、消防関係者といった社会機能の維持に必要な「エッセンシャルワーカー」は検査を組み合わせることで5日に短縮することが可能。勤務する事業所が抗原検査キットを用意し、4、5日目に計2回の検査を行って陰性が確認されれば、保健所の確認を受けた上で解除となる。

 

健康観察 重症化リスク高い人優先


 自宅待機中の健康観察も、保健所の業務負担を回避するため重症化リスクの高い人が優先されている。

 高齢者や38度以上の発熱がある場合は、保健所から毎日電話があり、症状の確認が行われるが、無症状や軽症ならスマートフォンのアプリを活用して体温や症状を入力することになっている。さらに、血液中の酸素飽和度を測る「パルスオキシメーター」の貸し出しも、リスクが高い人に限定されている。

 県は24時間対応の自宅療養サポートセンターを設置。体調に不安を感じた際には電話で相談することができる。ただし、症状が悪化しても、救急搬送が必要な場合などを除き、自分で発熱外来などを予約する必要がある。

 

濃厚接触者の特定 「候補者リスト」基に判断


 保健所が感染者の行動歴をたどり、濃厚接触者を調べる「積極的疫学調査」も簡略化されている。

 これまでは感染者全員への聞き取りなどによって濃厚接触者が特定されてきたが、現在は感染者が所属する企業や学校などが「候補者リスト」を作り、それを基に保健所が濃厚接触者に当たるかどうかを判断する方式となっている。

 さらに、濃厚接触者に対する検査についても重症化リスクが高い人に限定された。また、検査の対象外となった濃厚接触者には原則、感染者が自ら連絡して自宅待機を伝えることになっている。

 

外出 マスク着用徹底、接触避ける


 感染者も濃厚接触者も基本的に出勤や通学はできない。ただし県は、濃厚接触者は持病の治療でかかりつけ医を受診したり、食料品を買いに出掛けたりすることは可能としている。その際、マスク着用を徹底し、できる限り人と接触をしないようにすることが求められる。受診するかかりつけ医に対しては事前に濃厚接触者であることを伝えることも必要だ。

 自宅を出ることができない感染者に対しては、県や岡山、倉敷市が食料品を無料で配達している。

 一方、家庭内では同居家族と可能な限り生活空間を分け、マスク着用や換気、こまめな手洗いが重要。感染を広げないため、鼻をかんだティッシュなどはビニール袋に密閉してから捨てるようにしたい。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2022年02月11日 更新)

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