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保健・医療体制「危機的状況」 全国知事会 緊急提言案を公表

全国知事会のオンライン会合で発言する伊原木知事(左)=岡山県庁

 全国知事会は15日、オンラインで開いた新型コロナウイルス対策本部会合で、オミクロン株の早期収束に向けた国への緊急提言案を公表した。現在の保健・医療体制は「多くの地域で危機的な状況に陥りつつあり、一部では深刻な医療逼迫(ひっぱく)を招いている」と指摘。感染対策徹底の呼び掛けや、3回目ワクチン接種の円滑な実施を重ねて訴えた。

 知事会長の平井伸治鳥取県知事は「感染拡大の波が収まりつつあるとも言われるが、まだ終わりが見える状況ではない。オミクロン株はかなり手ごわい」との認識を示した。

 提言は、オミクロン株は重症化率が低いと国民に受け止められているが、医療が逼迫する危機的な状況であると認識してもらうことが重要と強調。マスク着用や手指消毒、換気といった基本的な感染対策の再徹底を促すよう求めた。

 伊原木隆太岡山県知事は、重症化リスクの高い人については中和抗体薬や経口薬の投与といった治療に迅速につなげるため「結果判明に2、3日かかるPCR検査ではなく、その場で分かる抗原検査をメインにすべきだ」と提案した。

 浜田省司高知県知事は、感染者に占める高齢者の割合が高いことで「中等症や重症者も増え、病床の占有率も上がっている」と懸念を示し、谷本正憲石川県知事は「保育園や学校、高齢者施設の感染拡大が収まらない」と述べた。

 提言は3回目接種の加速に向け、副反応が強いとして米モデルナ製ワクチンで広がっている不安の解消を要請。5~11歳の接種に関しては、保護者らを対象とした相談窓口の開設を訴えた。

 阿部守一長野県知事は「子どもへの接種は保護者の不安が非常に強い。科学的根拠を踏まえた情報を、分かりやすく丁寧に発信してほしい」と注文した。

 会合には東京、和歌山を除く45人の知事が出席した。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2022年02月16日 更新)

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