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岡山県自閉症児を育てる会 母子支え15年 地道な活動 療育や相談で孤立防ぐ

自閉症児を対象にした児童デイサービス事業の一場面。療育指導員と子どもが1対1で対人関係などについて学ぶ=赤磐市和田

 自閉症児の教育支援に取り組む「岡山県自閉症児を育てる会」(事務局・赤磐市和田)が、設立から15年が経過した。県内の母親5人が「育児に悩み孤立しないように」と結成したのが始まり。現在の活動は療育事業や電話相談など多岐にわたり、同会は「自閉症児が社会に受け入れられる環境づくりに役割を果たしたい」としている。

 同会は1997年9月、「県自閉症児をもつ母親の会」としてスタート。100人に1人の割合で発症し、人とのコミュニケーションなど社会的な関係を築くことが苦手とされる。治療は難しいが、同会は「個々に合わせた適切な療育と、周囲からの温かい支援があれば社会の中で安定した生活を送ることができる」と強調する。

 しかし、かつては「病のことが家族や地域に理解してもらえず、1人で苦しみながら自閉症児を育てる母親が多かった。同じ境遇の人たちと支え合い、話し合える場が必要と考えた」と育てる会の鳥羽美千子代表は結成の経緯を振り返る。

 現在、同会のメンバーは約130人。年に5回、自閉症児教育に詳しい専門家による講演会を母親向けに開いているほか、学校教諭を対象に指導の実践講座を開催している。

 05年からは、事務局の入る建物で児童デイサービス事業「赤磐ぐんぐん」を展開。子どもたちが集中しやすいよう部屋を小さく間仕切りし、療育指導員がマンツーマンであいさつの仕方など生活上のマナーや対人関係の築き方などを教え、3〜8歳までの約40人が週に1回利用している。

 長女(8)を通わせる母親(36)=赤磐市=は「地道な療育のおかげで周囲の人の気持ちが考えられるようになったよう。親子だと甘えもあって教えにくい」と喜び、別の母親(36)=瀬戸内市=も「子どものことを隠さず何でも話せ、親にとっても大切な機会」と言う。

 同会は今後、子どもらが親から独立し、地元で生活できるようにとグループホームの開設を構想中。鳥羽代表は「自閉症児でも立派に社会の中で自立できる。子育てに悩む親を孤立させないよう、今後も活動を続けていきたい」と話している。

 問い合わせ、電話相談は(086―955―3162)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年10月24日 更新)

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