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子宮頸がんワクチン 若い世代へ接種浸透 検診は依然低迷

子宮頸がん予防ワクチンが認可されて2年。自治体の補助制度などもあり、若い世代に順調に浸透している=岡山市内の診療所

 子宮頸(けい)がんの予防ワクチン接種が国内で認可されて2年が過ぎた。10代前半での接種が効果的とされ、本年度は岡山県内の中学1年から高校2年は実質無料となっていることもあり、若い世代に順調に浸透している。一方、早期発見に欠かせない検診の受診率は依然として低迷。県や専門医は「接種と検診を組み合わせて完全な予防につなげてほしい」と呼び掛けている。

 子宮頸がんは、性交渉によるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が主な原因とされ、年間約2500人が死亡。県内では年間約300人が罹患(りかん)する。日本思春期学会HPV緊急プロジェクトオブザーバーの上村茂仁医師(岡山市)によると、「ワクチンは性交渉を経験する前に接種することが望ましい」という。

 このため、2009年10月にワクチン接種が認可され、同12月から始まった。ただ、費用が4―5万円と高額なことから国は10年度から、中学1年―高校1年生で半額を公費助成。需要の大きさを受け、本年度は特例措置として対象を高校2年生にまで引き上げた。

 県内では、市町村の補助制度もあり、対象世代は実質無料。10年度は1万120人だったが、本年度に入って9月末までに前年を上回る1万5871人が接種した。県によると、10年度以降、対象者4万6千人の半数以上が接種した計算になるという。

 しかし、ワクチンで予防できるのは約7割とされる。防げないケースや既に感染した場合の早期発見に不可欠なのが検診だが、県内の子宮がん検診の受診率は24・4%(09年度)。全国平均(21・0%)を上回ってはいるものの、県が目標としている50%にはほど遠い。

 県健康推進課は「将来を通じて生徒の健康を守るため、予防接種に加えて検診の重要性も学校などを通じて訴えていきたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年11月20日 更新)

タグ: がん健康女性

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