文字 
  • ホーム
  • 岡山のニュース
  • 心臓ペースメーカー 超音波で遠隔充電 岡山大大学院・藤森助教ら 電池交換手術不要に

心臓ペースメーカー 超音波で遠隔充電 岡山大大学院・藤森助教ら 電池交換手術不要に

開発した超音波の変換器を張り付けた実験装置を手にする藤森助教

 岡山大大学院自然科学研究科(電磁波工学)の藤森和博助教(41)らの研究グループは、超音波を効率的に電気に変える変換器を開発した。厚さ2、3ミリの薄型で、心臓のペースメーカーとの組み合わせを想定。体外から超音波を送って遠隔充電すれば電池交換の手術が不要になるといい、企業の協力を得て商品化を目指す。

 心臓のペースメーカーは、不整脈などの患者の前胸部の皮下に埋め込み、心筋に電気刺激を与えて正常な心拍を得る医療機器。組み込まれた電池の寿命は5〜10年とされ、交換のための手術は患者にとって身体的負担になっている。

 藤森助教らは、電磁波を使った遠隔充電を研究していたが、人体などに悪影響を与える可能性を懸念。電磁波と同様に波動として伝わる超音波の利用を考え、2009年に研究を始めた。

 超音波の波動を受けると電気を発生する厚さ1ミリ以下の膜状の「圧電素子」を用い、効率的な変換器を開発。変換器との組み合わせで発電効率が良かった1・2メガヘルツの超音波を、指向性を持って発生させる装置も作った。

 一般的なペースメーカーは直径5センチ、厚さ1センチほど。変換器は数百円と安価で製作でき、ペースメーカーに張り付ける格好で使うため全体が大型化することもない。超音波発生装置は医療機関などに置き、1時間の照射で約1年分の充電が可能で、人体への影響もないという。

 藤森助教は「技術的には実用化できるレベル。医療機器メーカーなどの協力を得て商品化し、特許取得を目指したい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年11月24日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ