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岡山大病院チーム「責任果たせた」 スリランカ初肺移植終了 患者の容体安定

スリランカ・コロンボの病院で行われた岡山大病院肺移植チームによる脳死両肺移植(同大病院提供)

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)の肺移植チームが、11月30日からスリランカ・コロンボ市内の病院で行っていた重い肺の病気に苦しむ同国の60代男性への脳死両肺移植は、1日未明(日本時間)に無事終了した。同大病院によると、同国での肺移植は初めて。

 執刀医を務め、手術後に電話取材に応じた大藤剛宏・同大病院肺移植チーフは「患者の救命と同時に日本の肺移植の看板を背負った手術が成功し、安堵(あんど)している。患者は移植した肺で呼吸しており、容体も安定。早ければ2カ月後に退院できる見込み」としている。

 肺に炎症が起きて呼吸が困難になる特発性間質性肺炎で一刻を争う状態だった患者への移植は、チーム16人と現地の医師らが協力して実施。当初は生体移植を予定していたが、男性の脳死ドナー(臓器提供者)が現れ、脳死移植に切り替えた。30日午後4時(現地時間30日午後0時半)から始まり、1日午前2時53分(同30日午後11時23分)に終了した。

 大藤チーフは「患者の家族も喜んでくれ、責任が果たせた。現地の医師とも連携でき、同国に肺移植を根付かせる教育的な意義も大きかった。今後も肺移植の普及に尽力したい」。槇野博史・同大病院長は「本院の肺移植チームにとって初の海外移植が無事終わり、安心した。術後管理に万全を期したい」とのコメントを出した。

 肺移植では日本トップの実績を誇る同大病院に10月、スリランカ大使館から依頼があり、肺移植チームは28日に現地入り。大藤チーフは今後10日程度、同国にとどまり、術後管理に当たる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年12月02日 更新)

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