文字 
  • ホーム
  • 岡山のニュース
  • 抗体変異の一端究明 必須タンパク質特定 岡山大大学院・金山准教授ら がん治療に応用期待

抗体変異の一端究明 必須タンパク質特定 岡山大大学院・金山准教授ら がん治療に応用期待

金山准教授

 岡山大大学院自然科学研究科の金山直樹准教授(免疫工学)らの研究グループは12日、抗体が抗原(ウイルスなど)を攻撃する過程で起きる突然変異に不可欠なタンパク質を特定したと発表した。がんに有効な抗体づくりや治療薬開発などにつながる成果として期待される。

 抗体は、体内の異物(ウイルスや細菌、がん細胞など)を排除する免疫反応を担う物質。主に「Y」字形をしていて、両枝の先端部分で抗原となる異物を捕まえて結合し白血球などに排除させる。攻撃力を高めるため、多様な異物を認識してキャッチする先端部分は、高い頻度で異物の形に合わせて変異する仕組みが備わっている。

 金山准教授らはニワトリの抗体を作る細胞を使って変異の要因を調査。1カ月で1〜2割が変異した一般的な一群にあるタンパク質「SRSF1―3」が、全く変異しない一群には無いことなどから、変異に必須のタンパク質と特定。抗体遺伝子だけに働くことも突き止めた。SRSF1―3の量を増やすといった方法で抗体の変異を制御できれば「抗原と結合する能力など有用な機能を高めた抗体の開発が視野に入る」と金山准教授。

 加えて、細胞内遺伝子の特定の位置に自在に変異を起こさせる可能性も生まれ、変異をコントロールするメカニズムが壊れた場合に起きるがんの解明▽がん化の抑制▽特定の病気になりにくいなど有用な細胞変異の促進―といった応用が期待できるという。

 成果は米科学アカデミー紀要電子版に掲載された。金山准教授は「現在、ヒト細胞で検証を進めている。実用化に向け、1、2年のうちに民間の研究機関や企業に技術移転したい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年01月13日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ