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脳脊髄液減少症に保険適用訴え  患者と家族でつくる「県支援の会」 病気周知に力

 交通事故などの衝撃で脳や脊髄(せきずい)を覆う脳髄液が漏れ、頭痛やめまいなどが起こる「脳脊髄液減少症」。重症例では立つことが難しくなるなど日常生活への影響も大きいが、診断基準づくりが遅れ、治療に健康保険が適用されない。県内の患者と家族でつくる「県脳脊髄液減少症患者支援の会」(木村博代表)は、保険適用の実現へ要望書を県に提出するなど、病気の周知に力を入れている。

 脳や脊髄を覆う硬膜の損傷が引き起こす脳脊髄液減少症の患者は全国に約10万人。患者の血液を硬膜の外側に注入、血液の凝固作用で傷をふさぐ「ブラッドパッチ療法」が有効な治療とされる。

 木村代表(76)=玉野市迫間=は2008年2月、妻の美智子さん(71)が、車の扉に頭を挟まれる事故に遭い、病気の存在を知った。「病名が分からず、誰にも相談できない状況がつらかった。同じ苦しみを持つ人の負担を軽減したい」と同4月、患者ら5人と会を結成し、現在の会員は30人になった。

 外出が難しい患者も多く、電話による情報交換や悩み相談が主な活動。昨年4月には保険適用の早期実現を求め、県内約1万人分の署名を厚生労働省へ送付。今年1月17日に県へ要望書を出した。

 病気の定義が不明確だった脳脊髄液減少症について、厚生労働省は当初12年度診療報酬改定でブラッドパッチ療法の保険適用を検討。しかし必要な症例の確保が遅れ、治療の指針となる診断基準作りが進まず、同年度の適用は見送られた。

 木村会長は「14年度の次回改定で保険適用されるためにも、行政の協力を得て一層病気の周知に努めたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年02月01日 更新)

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