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メタボ健診、国保加入者の受診率低迷 ペナルティー回避へ市町村躍起

特定健診で腹囲を測定する男性=岡山市・淳風会健康管理センター

 内臓脂肪の蓄積で生活習慣病のリスクが高まる「メタボリック症候群」の予防を目的とした特定健診(いわゆるメタボ健診)で、岡山県内の国民健康保険(国保)加入者の受診率が低迷している。国の目標は2012年度までに65%だが、09年度の県内受診率はわずか24.2%。達成できなかった場合、後期高齢者医療制度への拠出金が最大10%増額されるペナルティーがあり、各市町村は受診率アップに躍起だ。

 県がまとめた受診率は全国平均(31・4%)を下回り、全国ワースト7位。健診が始まった08年度(25・4%)より低下した。市町村別=表=では、西粟倉村の58・0%が最高で、倉敷市の16・5%が最低。岡山市は24・9%だった。

 低率の要因について、県健康推進課はデータを共有できる定期健診が義務付けられたサラリーマンと違い、自営業者や退職者らが加入者の中心を占める点を挙げ、「受診は本人の健康への意識によるところが大きい上、結果を市役所や役場に報告してくれる人は少ない」という。

 ただ、このまま放置はできない。目標値を下回っていた場合、ペナルティーの対象となるからだ。

 現在の枠組みでは、12年度末の達成率に応じて、15年度の後期高齢者医療制度への拠出金が10%以内で加減算される。大幅に目標を下回ると、保険料引き上げが生じる恐れもあるという。

 そこで、県内市町村は受診率アップに動きだした。県内ワーストの倉敷市は、従来のチラシやケーブルテレビなどを通じた啓発に加え、週末の集団健診実施といった利便性向上と、電話による呼び掛けに力を入れる。

 受診率が50・4%の矢掛町は09年から、人間ドックのデータを報告した人に、商工会加盟店で利用できる3千円相当のポイントカードを配布。今年も受診者を抽選でタレントのトークショーに招くなどユニークだ。

 倉敷市の10年度の後期高齢者支援金は約48億円。仮に10%の罰則が科された場合、4・8億円の増額にもなる。担当者は「保険料増額に直結しかねない課題だが、画期的な方法がなく苦労している。他の取り組みも参考に受診率アップに結び付けたい」とする。

メタボ健診 40〜74歳が対象。受診者の生活習慣改善を促すことで、糖尿病や脳梗塞などの生活習慣病を防ぎ医療費を削減しようと、2008年4月から開始した。原則として腹囲に加え、脂質異常、高血圧、高血糖のうち1項目以上に該当すると保健指導の対象となる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年04月12日 更新)

タグ: 健康

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