文字 

新生児の先天性異常症発見へ新検査法 岡山県、今月から導入

質量分析計で検査する県健康づくり財団の技師

 岡山県は今月から、新生児(生後4〜6日)の先天性異常症などの疾病を発見するマススクリーニングの新たな検査法として「タンデムマス法」を導入した。新たに13の疾病を高い精度で発見、従来検査と合わせると計19の疾病を見つけることが可能になった。県は「心身障害の予防、軽減が期待できる」としている。

 マススクリーニングは、米国で開発され、新生児の足の裏から取った血液をろ紙に染み込ませて成分を分析する検査法。放置すると重度の障害を引き起こす可能性のある先天性疾病の患者を症状が出ていない時期に発見した上で、投薬や食事療法などで事前に対処し、障害の発生率を低くするのが狙いだ。

 従来の検査法は全国の自治体で実施されており、発見できるのは、精神発達遅滞を引き起こすとされるフェニルケトン尿症、知的障害や低身長症につながるという先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)など六つの病気に限られていた。

 タンデムマス法は、質量分析計という特殊な機械を使い、ろ紙に染み込んだ血液中の多種類の微量成分を測定。有機酸や脂肪酸の代謝異常症といった突然死の原因になったり、脳障害を引き起こす計13疾患が新たに診断できるようになった。

 子どもからの採血は通常、出産後の入院中に母親からの同意を得て実施され、全額公費負担。県内の各病院で受け付け、検査は県健康づくり財団(岡山市北区平田)で行われており、現在1日約200人分を検査しているという。

 県健康推進課は「病気を発症する前に見つけて、早期に効果的な治療を始めるための大切な検査。全員受診してほしい」と呼び掛けている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年04月18日 更新)

タグ: 子供

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ