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精神疾患 地域での支援充実期待 五大疾病化で県内の患者・家族会

 がんや脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の四大疾病と並ぶ「五大疾病」に昨夏から加わった精神疾患。患者の急増を受け、国は医療体制整備などで重点対策を取るよう都道府県に求める。県内の患者・家族会は地域移行、生活支援策の一層の充実につなげて―と期待している。

 厚生労働省の調べでは、全国の精神疾患患者数(2008年)は推計約323万人。四大疾病で最多の糖尿病(約237万人)を大幅に上回る。背景には職場のストレス増大などによるうつ病の増加があり、うつ病患者は99年の2倍以上の約104万人に。県内の精神疾患患者も同年比5千人増の約3万6千人で、糖尿病と並びトップになった。

 五大疾病化を受け、国は今月末にも都道府県に指針を提示。体制整備の基本方針となる「医療計画」に病院・診療所などの機能充実や福祉サービス事業所との連携強化を盛り込むことで、入院をなるべく回避、地域での患者支援を促す考えだ。

 患者団体「県精神障がい者団体連合会」の関常夫会長は、長期入院や根強い偏見などの問題点を踏まえ、「就労や住居確保のサポートをはじめ在宅・救急医療、相談体制の充実により、患者が地域で暮らす支援策をさらに充実して」と訴える。

 県は既に第6次保健医療計画(11〜15年度)に基づき、24時間対応の包括的支援システムによる訪問診療▽24時間電話相談▽不調の際、緊急避難的に宿泊できる「ホステル事業」などを軸とした地域生活支援策を展開。県精神科医療センター(岡山市)と指定病院が連携した全県的な24時間救急体制整備も進めるが、「国の指針を受け、計画内容見直しも検討したい」(健康推進課)としている。

 県から「地域移行促進センター」の運営を受託、患者の自立を支える県精神障害者家族会連合会の鵜川克己理事長は「生活支援の充実や偏見解消は、患者を最も近くで支える家族の負担軽減につながる。五大疾病化を機に、社会全体で患者を受け入れる体制づくりを一層進めて」と望む。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年04月19日 更新)

タグ: 精神疾患

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