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放射性ヨウ素 早期排出 岡山大大学院榎本教授ら マウス実験で確認

【写真左】榎本秀一教授、【同右】赤田直輝さん

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の榎本秀一教授(核薬学)と同大大学院生の赤田直輝さんらのグループは、ローヤルゼリーを摂取すれば、体内に蓄積された放射性ヨウ素が尿に含まれて、通常より早く排出される可能性が高いことを、マウス実験で確認した。

 東日本大震災の福島第1原発事故で飛散した放射性物質が低線量ながら食品や水などから検出されたことから、人体に蓄積し、健康への被害が懸念されている。今回の研究は内部被ばく後、放射性物質を体外へ早期に排出させる薬剤の開発につながる成果として注目を集めている。

 グループは微量の放射性ヨウ素、同セシウム、同ストロンチウムを同時にしっぽの静脈から注入したマウス8匹で実験。生体を傷付けずに、体内における複数の放射性物質の動きを同時に観察できる特殊カメラを用い、ローヤルゼリーの投与群と非投与群に分けて連続8時間観察した。終了後、解剖して臓器別の分析も行った。

 その結果、投与群におけるヨウ素の体内蓄積量は非投与群の半分以下になることが判明。尿中への排出も、投与群の方が早いことが分かった。

 他の放射性物質は分析中だが、セシウムは特殊カメラの映像などから投与群の方が体内の蓄積量が少なく、尿への排出が促進されている可能性が高いという。グループは、ローヤルゼリー投与で「代謝が活性化して強い利尿が働いたのではないか」と予測している。

 榎本教授は「セシウムやストロンチウムについても詳細な分析を行い、ローヤルゼリーに隠された放射線防護機能を明らかにしたい」としている。

 榎本教授らは、ミツバチ関連製品製造販売の山田養蜂場(岡山県鏡野町)の助成と、ローヤルゼリーの提供を受け、2011年度から研究をスタート。今回の成果は18日から3日間、東北大で開かれる日本栄養・食糧学会大会で発表する。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年05月02日 更新)

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