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岡山市内、変わる医療機関地図 移転や設備増強相次ぐ

9月18日にオープンする榊原病院の新病院=岡山市北区中井町

 心臓病センター榊原病院の9月新装開院や岡山大病院総合診療棟の10月完成など、岡山市内の主な総合病院で、新築移転や設備増強の動きが活発化している。設備の高度化に伴い、敷地が手狭となった点などが背景にある。川崎医科大付属川崎病院、岡山市立市民病院も2015年度中に移転・オープンする予定。ここ数年で同市内の“医療機関地図”は大きく変化する。

 岡山市北区中井町のクラボウ岡山工場跡地。4万平方メートル超の敷地に、榊原病院の新たな“砦(とりで)”が姿を現した。病院によると進捗(しんちょく)率は約9割。9月18日の開院に向け、内装工事などが急ピッチで進む。

 本棟は鉄筋コンクリート7階延べ3万9千平方メートル。診療科は心臓血管外科、循環器内科など約20科。病床は297床。手術室7室、心臓カテーテル6室などを備える。手狭な現在地(同丸の内)で悩みの種だった駐車場は約500台(現130台)を確保した。

 社会医療法人社団十全会の榊原敬理事長は「常に最先端の心臓治療に取り組んできた。心のこもった安全で質の高い医療を提供したい」と話す。

数年で一気に 

 国立病院機構岡山医療センター(同田益)、岡山済生会総合病院(同伊福町)など大・中規模病院が多い政令指定都市・岡山。県によると、200床超の医療機関は17もあるが、ここ数年でその“地図”は一気に変わる。

 学校法人川崎学園(倉敷市)が運営する川崎病院(岡山市北区中山下)は現在地の南約100メートルに位置する旧深柢小跡地(同所)へ新築移転。650〜700床で内科、外科など18診療科を設ける。

 岡山操車場跡地(同北長瀬地区)に移るのは岡山市立市民病院(同天瀬)。「岡山総合医療センター(仮称)」とし、400床で18診療科。24時間365日体制のER(救急外来)を整備する。

設備増強も 

 設備増強の動きも相次ぐ。岡山大病院(同鹿田町)は来春の本格稼働へ総合診療棟を建設中。不足している手術室が13から20に増え、術中にCT(コンピューター断層撮影)が可能なハイブリッド型を導入する。森田潔学長は「年約8千〜9千件の手術数を早期に1万件台に乗せ、最先端医療を提供する中四国の拠点病院に」と期待する。

 岡山労災病院(同南区築港緑町)は新たな外来・入院病棟(7階)を整備する。13年春にも完成、得意領域の石綿疾患の研究をするセンターも設ける。

 岡山赤十字病院(同北区青江)も隣接地(1・6ヘクタール)を取得。病床数(500床)は変わらないが、少人数病室の増加へ新病棟(7階、210床)を13年中に着工、15年春から稼働させる予定だ。

災害時の拠点に 

 相次ぐ設備投資の主な背景には、医療機器の大型化などで病院施設が手狭となったり、老朽化したことがある。また、東日本大震災を受け、南海トラフを震源とする大地震発生が懸念される中、危機意識の高まりも反映されている。

 建物自体に免震構造(川崎病院など)や耐震構造(榊原病院など)を採用するだけでなく、各病院は緊急時の患者受け入れも見据え、医薬品の備蓄や対応マニュアルを作成。「災害に強く、災害時の診療拠点となる病院づくり」を進めている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年06月04日 更新)

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