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(上)大震災を機に有効性注目

 かとう・けいいちろう 東京薬科大卒。2008年から現職。加宝堂薬品(岡山市北区京橋町)社長。66歳。

 東日本大震災をきっかけに、医療や薬に携わる人が「お薬手帳」=写真=の有用性にあらためて注目しています。名前や飲み方、副作用などといった、診察後に受け取った薬のデータを控えた小さなノートのことです。

 被災地では、津波でカルテを失った医療機関がありました。全国から医療チームがやってきましたが、患者さんと顔なじみでなく、どんな薬を飲んでいるのかを知るのも難しかったそうです。お薬手帳があれば、処方薬の記録から患者さんの状態が分かり、薬の処方もスムーズです。被災地ではそんな例が実際にありました。

 岩手県で今、薬剤師会や医療関係者、行政がお薬手帳を改訂し普及に力を入れているのは、こうした教訓に基づいてのことと言えます。

 普段の生活でアクシデントが起きた時に「早い段階で患者さんの処置を始めることができる」と救急隊員の方は話します。お薬手帳には、処方された薬を管理するだけでなく“貴重な情報源”といった役割もあるのです。

 (岡山県薬剤師会長・加藤圭一郎)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年06月04日 更新)

タグ: 健康

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