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救急相談電話、翌朝まで延長 県精神科情報センター

7月から夜間・休日の緊急体制を強化する県精神科救急情報センター

 精神障害者や、その家族からの救急相談に、専門スタッフが毎日電話で応じている県精神科救急情報センター(岡山市北区鹿田本町、県精神科医療センター内)は7月から夜間・休日の体制を強化する。午前0時までだった受付時間を、各医療機関が診療を始める翌朝8時半まで延長。これにより24時間の緊急対応が可能になる。

 救急情報センターは、かかりつけ病院が夜間診療していなかったり、未受診の人に対し、緊急度を決める「トリアージ」を実施。症状に応じて当番病院や県精神科医療センターなどを紹介し、入院や受診につなげているが、深夜0時〜翌朝などが相談対応の空白時間帯となっていた。

 7月1日からは、平日の受付時間を「午後6時〜午前0時」から「午後5時〜翌朝午前8時半」、「午前10時〜午前0時」だった休日を「午前8時半〜翌朝8時半」に、それぞれ拡大する。相談電話(086―225―9080)は変わらない。

 救急情報センターを運営する県と岡山市が、利用者の要望を受けて踏み切る。精神保健福祉士らスタッフ2人が常駐。判断が難しい場合に精神科医の指示を仰ぐ方式は従来通り。会話目的の長時間の相談には応じない。

 運営費は年間3千万円程度かかっているが、今回の受付時間拡大に伴う新たな負担は発生しないという。

 県健康推進課は「精神障害者や家族の安心の一助になれば」としている。

 県精神科救急情報センターに寄せられた2011年度の相談件数は1692件に上る。このうち緊急対応が必要と判断したケースは全体の1割に満たないが、年々増加傾向にあるという。

 相談者の内訳は、本人64%、家族28%など。相談対象の5割超を岡山市内在住者が占めたほか、7割超がかかりつけ医を持っていた。

 内容は、受診希望の訴えや薬の副作用の有無など医療関係が772件(46%)で最多。単なる会話目的(34%)、病気や症状に関するもの(14%)が続く。

 相談の緊急度では、全体の8割近くが「受診不要」や「翌日以降の平日受診」で対応可能と判断。一方、「入院や受診が即必要」として緊急対応したケースは140件(8%)で、3年前(85件)より6割以上増えており、救急情報センターは「患者にセンターを紹介する精神科以外の医療機関が増え、周知が進んでいるため」とみる。

 救急情報センターへの相談だけで問題が解決した対象者が34%と最も多かった半面、スタッフとの会話を繰り返し求めるリピーターが32%に上っており、同センターは適正利用を訴えている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年06月29日 更新)

タグ: 精神疾患

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