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世界初3D解剖図を開発 岡山大病院とパナソニック

武田吉正准教授

 岡山大病院の武田吉正准教授(麻酔・蘇生学)らは20日、3D技術を使い、臓器の構造をパソコン画面上などで立体的に再現する「仮想解剖図システム」をパナソニック(大阪)と共同開発したと発表した。世界で初めての成果で、若手医師の教育や診療精度向上に役立てるのが狙い。

 武田准教授によると、従来の平面の解剖図では神経などの正確な位置が把握しにくい欠点があった。立体画像なら研修医らへの効果的な指導につながる上、見えにくい組織を事前に確認して手術に臨むこともでき、「麻酔の際の神経や血管の損傷など、万一の事故や後遺症を減らせる」という。

 昨秋、岡山大病院の11診療科と同社が胸部や腹部、脚関節など約30カ所の臓器を半球状に上下左右から写真撮影。画像データを画面上に再現し、3D眼鏡を使えば立体的に観察でき、組織の重なりや奥行きを詳しく理解できる。見る角度や倍率も自由に変えられ、画質は「デジタル一眼レフカメラ並みで、1千万画素を超える」という。

 武田准教授は2007年から解剖学教室の大塚愛二教授(人体構成学)らと3Dでの再現方法を研究してきた。システムは既に今春から利用。武田准教授は「さらに多くの部位で再現できるよう研究を進め、医療技術の発展に努めたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年09月21日 更新)

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