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外出先で移植可否判断 岡山大病院移植医、タブレット活用

釣りの最中にタブレット型情報端末で脳死ドナー情報を確認する大藤准教授

 岡山大病院(岡山市北区)は、臓器斡旋(あっせん)機関・日本臓器移植ネットワークから突然届く脳死移植の緊急連絡に備え、肺と肝臓の移植医にタブレット型情報端末を配備した。外出先でも提供臓器のデータや画像を確認でき、迅速な移植の可否判断に活用されている。

 移植ネットからの一報は昼夜を問わず、病院の移植医に入る。医師は脳死ドナー(臓器提供者)の臓器に関する情報を基に手術の可否を判断、待機患者の同意を得て、1時間以内に移植ネットへ返答するが、休暇や出張先などでインターネットに接続できず、判断が遅れる場合もあった。

 肝臓は大きさや状態、肺はCT(コンピューター断層撮影)画像などのデータが重要な判断材料という。同病院は肝臓移植の執刀医・八木孝仁肝胆膵(かんたんすい)外科教授と肺の大藤剛宏呼吸器外科准教授に国内メーカーのタブレット(縦20センチ、幅11センチ、厚さ0・8センチ)を配備。各種データを鮮明な画像で確認できるようになった。

 家族承諾で脳死臓器提供を認めた改正臓器移植法施行(2010年)による脳死ドナー急増で、同病院でも脳死移植の症例が増えている。大藤准教授は「趣味の釣りの最中に移植ネットから打診を受け、船上で情報を確認したこともある。迅速で正確な判断への大きな武器」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年12月31日 更新)

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