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「ももたろうパートナーズ」活動広がる 視覚障害者伴走、社会参加も促進

ランニング前に全員で体操やストレッチをするももたろうパートナーズのメンバーら

 岡山県内の視覚障害者と伴走者でつくるランニングクラブ「ももたろうパートナーズ」の活動の輪が広がっている。2006年に3人でスタートし、現在は約50人にまで増加。大会にも出場し、フルマラソンのホノルルマラソン(米・ハワイ)を完走したメンバーもいるなど、ランニングを通じて視覚障害者が多くの人と出会い、社会参加を広げる場にもなっている。

 視覚障害者がランニングを楽しむ場合、安全面で大きな不安がつきまとう。その解消を担うのが併走者だ。2人をつなぐのは輪になったロープ。これを握ることで一心同体となり、伴走者はランナーが違和感なく走れるよう息を合わせる一方、カーブや危険物があれば声を掛けるなど、安全に配慮しながらゴールへ導く。

 「ももたろうパートナーズ」は京都市のランニングクラブで視覚障害者のサポートを続けていた主婦の貝畑和子さん=倉敷市=が、知人から「岡山にも運動できる場をつくってほしい」と相談を受けたのを機に設立した。伴走者は最初、貝畑さんだけだったが、講習会を開いて養成。主婦や定年退職した男性ら約30人に増えた。

 ランナーも約20人になり、毎週月曜と第1土曜の午前、県総合グラウンド(岡山市北区いずみ町)周辺で約1時間半、練習を楽しんでいる。

 メンバーは駅伝大会に参加したり、岡山市で開かれる「百間川ふれあい健康マラソン」や「山陽女子ロードレース大会」などに出場。11年にはホノルルマラソンに3人が挑戦し、全員完走するまでになった。

 走ることは前向きな気持ちにも結び付いているようだ。鍼灸(しんきゅう)師を目指して盲学校に通う虫明英児さん=同市=は右目が不自由だが「自分より障害の重い人が走る姿を見ると頑張ろうという思いが湧いてくる」。病気で両目の視力をほとんど失った主婦久保瞳さん=同=は、「ランニングを始めて風の音で季節の移り変わりを感じられるようになった」と喜ぶ。

 貝畑さんは、一層の安全のためにも2人が障害者ランナーをサポートし、伴走と指示を分担できる練習環境が理想といい、「視覚障害者が社会への一歩を踏み出し、出会いを楽しめる場にしたい。ぜひ協力を」と話す。問い合わせは、メール(bansou@corredor.jp)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年01月03日 更新)

タグ: 男性健康女性高齢者福祉子供

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