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脳死判定のため転院搬送 臓器提供で厚労省試行

 脳死判定のための転院搬送のイメージ

 脳死状態となった患者に対し臓器提供に必要な脳死判定ができない場合、別の医療機関に転院搬送する仕組み作りに厚生労働省が乗り出した。2023年度はモデル地域で試行し、課題を洗い出す。厚労省はこれまで、搬送は患者の負担が重く「控えるべきだ」との見解を示してきた。しかし患者側に提供の意思があっても病院の事情で断念せざるを得ないケースが一定数あることを踏まえた。

 脳死での臓器提供には、瞳孔の反応や脳波を調べる脳死判定が必要だ。資格がある医師2人が6時間以上間隔を空けてそれぞれ実施するなど、厳格なルールがある。

 厚労省によると3月末時点で、高度な医療が提供できる大学病院などの医療機関は全国に895施設あるが、19年以降に脳死で臓器提供を実施したのは約170施設にとどまる。

 脳死判定に必要な人材などの体制が整っていないことが背景にある。経験豊富な医師を派遣する取り組みもあるが、脳波を測定する機材がなく物理的に不可能な施設も。新型コロナウイルス流行下では、集中治療室(ICU)が足りずに見送ったケースもあった。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2023年06月29日 更新)

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