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浸水、とっさの判断で患者2階へ 外来診療中断、病院「対応限界」

 大雨で1階部分が浸水した田主丸中央病院=10日、福岡県久留米市(共同通信社ヘリから)

 九州北部の大雨で、福岡県久留米市の田主丸中央病院は10日朝、1階が30センチほど床上浸水する被害に見舞われた。職員のとっさの判断で移動が困難な入院患者をベッドごと2階に避難させたが、外来診療を中断する事態になった。自力での対策を続けてきた中での被災に、「民間の病院でこれだけの災害に対応するには限界がある」と、行政に対応を求めている。

 病院によると10日午前5時過ぎから浸水し、すぐに「患者を上げよう」と、当直職員ら十数人ほどが動いた。水位がぐんぐん上昇する中、エレベーターを使って患者約50人をベッドごと1階から2階に移動させた。

 1階は、早期に手術や治療が必要な患者が入る「急性期病棟」で、病状が重い人もいる。職員は「とにかく人命第一」を心がけ、2時間以上かけて全員の避難を終えた。間もなく停電し、エレベーターも止まった。

 石飛隆敏医事課長は「女性職員も多く、階段でベッドごと上げるのは困難だった。早い判断が重要だった」と間一髪の対応を評価。体調不良を訴える患者も出ていないという。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2023年07月12日 更新)

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