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アルコール依存症 早期発見・治療へ連携 岡山の精神科、内科医らネットワーク組織

事例検討会でアルコール依存症患者への対処法について意見交換する医療関係者ら

 岡山市内の精神科医と内科医、救急医らが「アルコール依存症早期支援ネットワーク会議」を組織し、患者の早期発見・治療を進めている。依存症患者が肝臓の病気などで内科を受診したり、救急搬送されても依存症の治療には結び付いていないケースがあるからだ。全国的にも先進的な取り組みで、顔の見える関係を築き、問題解決への道筋を探っている。

 アルコール依存症患者は全国で80万人と推計されるが、精神科への偏見の強さや病気への理解不足などから、治療を受けている人は2万人余りにとどまっているのが現状。同会議のような連携組織も1996年に三重県内で発足しているが、全国的には少ないという。

 情報を補足 

 「救急外来で大声を出したりして非常に困っている」

 昨年末、岡山市北区青江の岡山赤十字病院。同会議の事例検討会で實金健救急部長がアルコール性肝炎の男性患者が運ばれてきた時の状況を報告した。

 男性は母親が入院していたことから同病院との関係ができ、公園で寝るなどしてたびたび搬送されるようになった。しかし、依存症、肝炎ともに根本的な治療をさせず、搬送されては帰宅を繰り返す。いわゆる問題患者だ。

 高齢の母親を支援する地域包括支援センターの職員が家庭環境の情報を補足。精神科医は「本人には断酒会、母親には家族の会を勧めてみては」とアドバイスした。

 新しい動き 

 同会議は岡山市こころの健康センター(同鹿田町)の太田順一郎所長らの呼び掛けで2011年7月に発足。メンバーは医師にソーシャルワーカー、保健師ら14人で、これまで7回意見交換を重ねてきた。昨年6月からは市医師会などと共催で事例検討会を3回開催。福祉事業所や市消防局の救急隊員ら幅広い職種から毎回60人以上が参加している。

 太田所長によると、精神科のある医療機関を除けば、アルコール依存症患者への対応マニュアルがない所も多い。同会議は、そうした病院の内科医らが専門的な助言を受ける場となっている。関係が深まるにつれ、精神科医と連携して患者を診るなど新しい動きも出てきた。

 太田所長は「アルコール依存症の患者は迷惑行為などが目立つ人がいる半面、心の中で助けを求めている人もいる。いろんな職種、機関が関わることで支援拡大につなげたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年01月12日 更新)

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