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慢性腎臓病はメタボ、高血圧が関連 岡山大大学院・前島教授ら確認

 新たな国民病といわれる慢性腎臓病(CKD)を研究する岡山大大学院医歯薬学総合研究科の前島洋平教授(腎臓病学)らは、CKD発症にメタボリック症候群や高血圧症などが深く関係していることを岡山市の特定健診受診者の検査データで確認した。追跡調査などを行い、発症リスクの高い“予備群”を把握するシステム確立を目指し、CKD予防につなげる。

 同大病院の綿谷博雪医師らが2011年度に同市の国民健康保険特定健診(40歳以上が対象)を受けた約2万8千人(男性約1万800人、女性1万7300人)のデータを分析した。国内では血圧に注目した数万人規模の分析から、CKDと高血圧との高い関連性が指摘されていたが、「メタボや尿酸など全般的な分析は初めてでは」(前島教授)としている。

 分析の結果、全受診者の20・8%に当たる約5800人がCKDだった。年齢が高いほど患者になる率も高く、70代は40代の6〜7倍に上った。患者のうちメタボと診断された人は約1500人で、CKDになる率はメタボでない人の1・6倍だったことも判明。高血圧症患者をはじめ、脳卒中や心疾患の経験がある人とも高い関連性が認められた。

 グループでは追跡調査で新たに患者となった人のデータを基に発症要因を探り、予測システムを確立。岡山市が既に取り組んでいる保健師の保健指導や医療機関への受診呼び掛けに役立てる。

 前島教授は「全国のモデルになるようなCKDの予測、診療システムを早期につくりたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年01月23日 更新)

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